ADINA CFD

ADINA CFDは、さまざまなマルチフィジックス連成のもとですべての流れ形態の流体をモデリングする包括的な手立てを提供します。プログラムは、乱流、圧縮性流れ、熱および物質移動をともなう流れ、2相流、流体-構造相互作用、および流体-電磁場連成などをシミュレートするように準備されています。

A Comprehensive Program for Computational Fluid Dynamics Simulations

計算流体力学シミュレーションのため総合的なプログラム

ADINA CFDは、非圧縮性および圧縮性の流れをモデリングするための最先端の機能を提供します。 ADINA CFDは、層流および乱流域の流体、滑らかまたは粗い境界を持つ薄膜のレイノルズ流れ、2相流、非等温流れ、共役熱伝達、多孔質媒体内の流れ、物質移動をともなう流れ、低速および高速の圧縮性流れなど、幅広い流体流をモデリングでき、非ニュートン流体や実在の気体を扱うたえの材料モデルを実装しています。任意の形状の一般的な流れを計算できます。

ADINA CFDは、CFD解析のみのスタンドアロンプログラムとして使用することも、流体-構造相互作用や流体-電磁場連成解析のようなマルチフィジックス問題のためにADINAの他のモジュールと組み合わせて使用することもできます。

An Advanced Software Package for Fluid Flow Applications

層流および乱流モデリング

ADINA CFDには、クリープ流れや拡散問題、非圧縮性や圧縮性の乱流を含む、すべての流れ領域で流体をモデル化する機能があります。 標準およびRNG k-e乱流モデル、Spalart-Allmaras乱流モデル、k-ε/ SST乱流モデルを使用できます。

・無人航空機の空力解析
・エキゾーストマニホールドの熱流体と応力解析


排気ガスマニホールドの共役熱伝導解析における表面温度

非圧縮性および圧縮性流れ

ADINA CFDは、非圧縮性または圧縮性流れのナビエストークス方程式またはレイノルズ方程式を解きます。 圧縮性流れは、閉領域内の流体、温度結合が必要な低速圧縮性や衝撃波のある高速圧縮性など、微圧縮性である場合もあります。 高速圧縮性流れとSteeredアダプティブメッシュ(SAM)の機能を組み合わせると、衝撃波の伝播を計算するのに特に役立ちます。 薄膜のレイノルズ流体要素は、ナビエストークス流体要素に直接接続して、たとえば、薄膜潤滑ベアリングのオイル保持をモデル化できます。

・空気より軽い軽飛行機(LTA)のFSI解析
・赤血球の流体-構造相互作用解析
・液封エンジンマウント
・ADINAのレイノルズベースの流体要素を使用した薄膜(thin-film)流れの解析

二相流とVolume of Fluid(VOF)

ADINA CFDは、Volume of Fluid(VOF)機能を利用して二相流をモデリングできます。 VOF界面の境界面捕捉法を用いて非混合流体または部分的な混和流体をモデル化できます。 キャビテーションもVOF機能を用いて計算でき、FSIや乱流とともに使用することができます。

・キャビテーションの計算

共役熱伝導と非等温流

ADINA CFDは、単一のプログラムモジュール内で、固体と流体の間の熱伝導および非等温流をモデル化する機能を備えています。共役熱伝達問題では、固体領域は流体-固体要素を用いてADINA CFD内でモデル化します。 ここでは、エネルギー方程式がCFDモデルの中で解かれます。 非等温流れの問題では、特に温度負荷が圧縮性をもたらす状況の時、温度は流体の流れと完全に連成します。 ADINA CFDは、熱伝達のさまざまなメカニズム-伝導、伝達、輻射-を流体力学と連成して探求することができます。

・プレート式熱交換器のTFSI解析
・工業炉の加熱効果
・サーマルFSI機能のベンチマーク

回転ジオメトリ–スライディングメッシュ

ターボ機械の問題や攪拌タンクなど、回転が特徴のモデルの場合、例えば、ADINAはスライディングメッシュ境界条件を利用します。これにより、ユーザーは相互に移動するメッシュを定義できます。 スライディング接続面のすべての物理変数は連続であり、保存則を満たします。 スライディング接続面に沿ったメッシュでは、分割が異なっても許されます。 この機能は、1つ以上の移動部分を含む流体-構造相互作用問題で特に役立ちますが、流体のみにも適用できます。

・水力タービンの解析
・スライドメッシュの改良とグルーイング

材料モデル

ADINAには、圧縮性流体と非圧縮性流体を表すいくつかの材料オプションがあります。非圧縮性流体の場合、一定、温度依存、または時間依存の粘度、熱容量、熱伝導率を流体に割り当てることができます。圧縮性流れの場合、粘度、熱容量、熱伝導率の温度、圧力、または温度-圧力依存モデルを使用できます。大きなマッハ数の流れも、高速圧縮性流れモデルの定義を用いて計算できます。非ニュートン流体は、べき乗則、温度依存のべき乗則、およびカローモデルを使用して記述できます。さらに、ASME Steamと多孔質材料モデルが利用可能です。理想気体の法則がもはや有効ではない温度と圧力で、標準のRedlich-Kwong、Aungier-Redlich-Kwong、Soave-Redlich-Kwong、Peng-Robinsonなど、実在気体の挙動をモデリングするためのいくつかの状態方程式をサポートします。ユーザーは、Fortranで記述されたユーザーコーディングのサブルーチンを使用して、独自の材料を定義することもできます。

・新分野

Cutting-Edge Meshing Capabilities for CFD Simulations

メッシング

しばしば、メッシュ作成は、流体モデリングにおいて面倒で時間のかかる作業であると見なされます。 ADINAの高度なメッシュアルゴリズムにより、ユーザーは任意の形状領域にフリーフォームまたはルールベースの構造化メッシュを簡単に作成できます。 AUIのメッシュツールでは、構造化された境界層メッシュ、スイープおよび回転メッシュ、曲率ベースのメッシュ、自動メッシュグレーディングによる作成も可能です。 構造相互作用(FSI)をともなう流体流れ、または移動境界をともなう流体流れの計算では、節点の移動の結果として歪んだ要素によりメッシュが正当でなくなったときに、メッシュトポロジーを更新する必要があります。 Steeredアダプティブメッシュ(SAM)を使用すると、不当な要素を修復するデローニ分割法によるアダプティブメッシュが実行されます。 SAMは、たとえば速度や温度の変化が急な領域といった変数の勾配によってメッシュを改良するのにも利用できます。このように、シミュレーションされる物理にもとづいて効率的で正確なメッシュを提供します。

・Steered Adaptive Meshing Applications(Steeredアダプティブメッシュの適用)
・FSIのアダプティブメッシュ
・CFDのアダプティブメッシュ
・ADINAのメッシュツール


二次元歯車ポンプの流体構造相互作用シミュレーション

State-of-the-Art Computational Fluid Dynamics Element Schemes

FCBIおよびFCBI-C要素スキーム

ADINA CFDは、FCBIおよびFCBI-C要素タイプを使用してすべての流体流れをモデリングするための高度な数値計算スキームを提供します。 FCBIを用いると、結合されたソリューション変数のすべてが単一の行列方程式で直接解かれます。 このスキームは、レイノルズ数の小さな流れ、マッハ数の小さな圧縮性流れ、および非線形性の強いFSI問題に対して高い安定性をもたらします。 FCBI-C、つまりセル中心の要素を使用すると、ソリューション変数は反復的に解決され、セル中心に格納されます。 FCBI-C要素は、分離型解法のメモリ使用の少なさと、レイノルズ数の大きな乱流に対して特に正確であるため、大きな問題(100万自由度以上)に適しています。 FCBI-C要素は、分散メモリ処理(DMP)での使用にも適しているため、非常に大きな問題を並列処理で高速に計算することができます。

・ADINA DMPによる完全双方向接続のFSI


ADINA DMPと完全に結合されたFSI

An Integrated Program Module for Multiphysics Applications

マルチフィジックスアプリケーション用の統合プログラムモジュール

マルチフィジックス問題は、2つ以上の異なる物理領域(構造変形、流体の流れ、電場、温度、間隙水圧など)の依存性と相互作用になります。 1つの例は、人の動脈を構成する組織が拍動する血流との運動交換により強い非線形の動きになる流体-構造相互作用の問題、心血管機構の研究です。

ADINAマルチフィジックスパッケージには、1つのプログラムに緊密に統合されたマルチフィジックス機能が包括的に実装さえれています。流体解析に結合されるものには、流体-構造相互作用、流体-電磁場連成、流体-物質輸送連成、および熱-流体-構造連成があります。

流体-構造相互作用の問題では、流体は、大変形、材料非線形性、接触、温度依存性により強い非線形応答になる一般的な構造に結合されます。 FSI解析は広範囲にわたる問題であり、特に自動車、バイオメカニクス、ターボ機械、原子力発電業界で見受けられます。

熱-流体―構造連成では、エネルギー方程式は流体領域と固体領域で別々に解かれ、流体-構造境界面で同じ温度と同じ熱流束となるように領域が結合されます。この方法の主な利点は、固体モデルの発熱(つまり、摩擦熱、塑性変形、または粘性効果による)が流体モデルの温度場に影響を与えることです。

流体-物質輸送連成では、流体の流れが他物質の輸送に結合されるため、物質の濃度が流体の流れのプロファイルに影響を及ぼし、その逆もまた影響を及ぼします。連成は、混合物の密度と粘度が溶質濃度に依存するためです。流れによる溶質の輸送は、混合密度の空間分布とその粘度を変化させ、その結果、流れパターンに影響を与え、溶質の動きに跳ね返ります。

流体と電磁場のふるまいの結合に関する問題では、ナビエストークス方程式によって表される流体の流れに結合された一般的なマクスウェルの方程式を計算します。このようなマルチフィジックス問題では、流体の流れは、電磁界によって生じるローレンツ力を受けます。これに関連する例は、食品製造のマイクロ波加熱です。


シェルおよびチューブ熱交換器の熱流体構造解析