ADINA DMPによる完全双方向接続のFSI

2014.01.30 Fully Coupled FSI with ADINA DMP

マルチコアマシン、クラスタ、クラウドコンピューティングの利用によって、並列計算 が計算時間短縮に広く用いられています。 これは、例えば、設計性能をより深く知るのに膨大な計算モデルの解析を可能にします。

並列処理は、長年にわたって、ADINAに用いられています。 そして、今、新しい分散メモリ型並列ソルバーが、流体と完全双方向の構造流体連成問題に 利用できるようになりました。 ADINA DMPは、一台のマルチコアマシンやマルチブレードで構成されるクラスタ 上で使用する ことができます。 方程式の組み立てと計算の両方を並行して実行するので、ADINAの分散型計算の能力は全体の計 算時間を大幅に短縮します。

本文の目的は、完全双方向接続のFSI問題については、この分散型計算の能力を 実証します。 問題は、一台のマシン上で16コアを使用して計算します。

シェル構造を通り過ぎる乱流を解析する、下の図1.に示す問題を考えます。 薄板の周囲およびそれを乗り越える三次元の流れです。 再循環領域が薄板の後流 となるので、 流れの領域は、再循環域で計算領域を終了しないように十分に大きいことが重要 になります。 K-ε乱流モデルを、乱流シミュレーションに用います。

図1 薄板を乗り越える乱流の問題の概略図

最初の解析では、薄板を剛体とみなします。1300万のFCBI-C要素を流体領域に用います。 二つめの解析では、流体の流れが薄板を大きく変形させるような、柔軟な薄板であるとします。 上の動画は、この場合の大きな変形を示しています。完全双方向接続のFSI解析をこのシミュレー ションで実行します。

定常状態の圧力と速度のプロットを下のそれぞれ、図2と図3に示します。

(a)剛体の薄板
(b)柔軟な薄板

図2 X = 4の切断面の圧力場

(a)剛性の薄板
(b)柔軟な薄板

図3 Z = 2の切断面の速度場

予想された結果は、薄板が剛体であるとき、より強い乱流が形成されることを示しています。

ADINAの分散型計算の能力は、非常に大規模な流体とFSI問題の計算のために強力なツール になります。ADINA DMPは、並行して方程式の組み立てと計算の両方を実行する ので、 優れたスケーラビリティを有します。使用するプロセッサの機能によるADINA DMPの 性能は、次の報告とします。

キーワード

並列処理、分散メモリ、ADINA DMP、マルチコアマシン、クラスタ、 クラウド・コンピューティング、完全双方向FSI、乱流