工業炉の熱効果

2013.5.15 Heating Effectiveness of an Industrial Furnace

粗鋼片を処理する共通の工程には、ガス燃焼炉内をある一定温度にして 鋼片を加熱する工程があります。 熱処理工程中に、天然ガスは、複数のノズルから点火し て炉内に 吹き込みます。鋼片は、ある一定時間内に指定された温度(1100°C)に加熱しな ければ ならず、各鋼片の温度のばらつきを小さい範囲(50°C)で制限しなければなりま せん。 実際に、炉の加熱効果が鋼片を均一な温度にすることに関係しています。 ノズルの位置とガス炎の長さは、炉の熱効果に直接影響を及ぼします。

今回のショーケースでは、炉の設計指針*のためにノズルの位置とガス炎の長さの影響を調査するのに、 ADINAをどのように使うことができるかを示します。 鋼片の熱膨張が流れと熱 伝導が相互に関係する中で、 ガスの乱流の境界条件を変化させるために、熱流体-構造相互作用解 析(TFSI)を実行します。 このシミュレーションでは、共役伝熱、流体の流れ、構造の変形すべて を連成させます。

図1は炉と鋼片を示します。 炉には上部に3つの主ノズル、側面に2つの補助ノズルがあります。 ガス炎の長さは、ノズルを通るガスの流量によって制御され、流量は各ノズルごとに異なっています。

図1 5つのノズル位置が示された炉と鋼片

ADINAのシミュレーションでは、ノズルの端での速度を定めることにより、ガス流量を指定します。 K-ε乱気流モデルを使って、乱流のガスの流動をシミュレーションします。 図2は炉の 流体部と鋼片の構造部を示します。 ノズル位置と流量についてはADINAのコマンド入力ファイルを パラメータ化して、ノズル位置とガス炎の長さを簡単に変えることができるようになっています。

図2 炉のガスと鋼片の流体メッシュと固体メッシュの表示

図3は、ある特定時刻における鋼片の温度を示し、上の動画は炉頂ガス内の温度を示します。 図4は、炉の上部にある3つの主ノズルのガス炎の長さで、ガス炎の長さは1350℃ 以上のものです。

図3 鋼片の温度
図4 炎の長さ

一つの例として、鋼片を置く主要な位置を考慮するのに、ノズル位置とガス炎の長さが鋼片の位置の 温度にかなりの影響を及ぼすことを図5が明らかにしています。 この図では、鋼片の主要位置を炉の左側中央からの距離として、ノズル位置と流量の2つの異なる 設定での結果が示されています。これらの曲線は、炉の設計と鋼片の処理工程にとって重要な 洞察を提供するものです。

図5 鋼片の温度に対するノズル位置とガス炎の長さの影響

ADINAで利用可能な解析機能にマルチフィジックスの連成効果をシミュレーションに含めること ができます。これらの機能を用いれば、異なる広範囲の物理場を考慮して相互作用させることが できるのに加え、解の精度を搊なうことなく、一般的な形式でこれらの各々の場を処理します。

このニュースはADINAの強力なマルチフィジックス機能が工業設計と複雑な製造固 定の最適化に どのように用いることができるのかを示しています。

キーワード

炉、共役熱伝達、熱の流体―構造相互作用解析(FTSI)、マルチフィジックス、モデルのパラメータ化、設計感度解析

**Courtesy of Radux Industry Technologies, Inc., Beijing, China