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f1 = 1701, t = 0.01


f1 = 74.78, t = 0.00001


Surprises in Mode Shapes of Shell Structures
シェル構造物のモードシェイプについての驚くべきこと

シェル構造物の動解析はもっとも興味深いテーマです。一見 直感に反するようにみえるかもしれない物理現象が見つかる事もあります。

以前、接触を含むシェル構造物の周波数とモードシェイプの解析、及び、円筒形のシェル構造物の動解析についてレポートしました。今回は、円筒形のシェル構造物について検討し、板厚を薄くしたときの構造物の周波数とモードシェイプについて、興味深い? 多分驚くべき?結果をお伝えしようと思います。

図1では、検討する構造を示します。20番目までの周波数とモードシェイプを異なる板厚(t = 0.01, 0.001, 0.0001, and 0.00001)で、解析します。




図1. 円筒形のシェル構造物のモデル ;両端固定;板厚 t


表1. t の減少とシェル構造物の周波数

表1では、周波数と各モードにおける長手方向の”半波”の数(N)と円周方向の全波の数(M)をリストしています。”半波”というのは、両端での傾きはゼロですが、モードシェイプを表現するために使っています。以下の、興味深く、そして時には驚くべきことを観察できます。

  • 円周方向の全波の数は、ほとんどの場合で、長手方向の半波の数より多いです。T = 0.01(適度な厚さのケース)だけ あるモードシェイプでは N = M で、18・19番目の周波数だけ長手方向と円周方向の全波の数が同じになります。ここでは、N = 2, M = 1 です。図2のアニメーションをご覧ください。




図2.  t = 0.01 の場合における18・19番目のシェル構造物のモード

  • 板厚が減少するにつれ、高い周波数に対して、長手方向の半波は 1 (N = 1) の ままで、円周方向の波の数は増加します。非常に薄いシェル構造物(t = 0.00001) については、最小の周波数で、長手方向に半波 1つ 円周方向の全波 14個です。適度な板厚のシェル構造物では最小の周波数で、N = 1 、M = 2 だけとなります。先頭のアニメーションをご覧ください。

  • 適度な板厚のシェル構造物では、ねじりのモードが1つあります。板厚の薄いものでは、20番目までの周波数/モードシェイプには、このモードが含まれていません。図3のアニメーションをご覧ください。




図3. t = 0.01 のシェル構造物のねじりモード;ねじり挙動をハイライトするために、元の形状で直線のラインを表示しています。

  • もちろん、対称のモードのペアがほぼ全ての周波数で表れているのですが、t の減少に伴って各周波数の間隔が近づいています。例えば、t = 0.01 では f1 = 1701, f3=2184 で、t = 0.00001 では f1 = 74.78, f3 = 74.79 です。先頭のアニメーションでは、f1 = 1701 と f1 = 74.78 のモードシェイプを表示しています。

シェル構造物の板厚の変化に伴う物理挙動の変化の要因は、曲げのエネルギーは t の3乗に比例するのに対し膜方向やせん断のエネルギーは t に比例し、一方でこれらのエネルギーは、変位成分にフルにカップリングしていることです。[1,2]このカップリングは他の構造物、例えば単純な直線の梁や板、を検討する場合には存在しません。それ故に、これらの構造の動力学は、全く異なります。上述の観察についての解析的な洞察については、参考文献[3]をご参照ください。

物理挙動のこれらの変化を有限要素法で解析するためには、動的な応答を解析するために使われるメッシュがシェル構造物の板厚に大きく依存します。例えば、適度な板厚のシェル構造物(t = 0.01)については、円周方向の要素数は長手方向の要素数の2倍で良いかもしれませんが、非常に薄いシェル構造物では この比率は非常に大きくする必要があります。(又は、両方向に対し多くの要素数を使われるかもしれませんが、計算コストが掛かります。)

ここまで、一貫して線形の解析について検討してきました。非線形解析においては、同様のことが観察されるだけでなく、他の効果も加わります。特に、大変形解析における膜応力(引っ張り又は圧縮)が存在し、動的な挙動に大きな影響を与えます。この効果については、後にご紹介しようと思います。

シェル構造物の挙動は複雑で驚かされることがあります。シェル構造物の解析を実践する上で、信頼性が高く効果的なシェル要素と解析機能が非常に重要です。 ― ADINAは、この点において非常に魅力的です。

References

  1. S. Timoshenko and S. Woinowsky-Krieger, Theory of Plates and Shells, McGraw-Hill, 1959.

  2. D. Chapelle and K.J. Bathe, The Finite Element Analysis of Shells ? Fundamentals, Springer, 2003.

  3. E. Artioli, L.B. da Veiga, H. Hakula and C. Lovadina, "On the asymptotic behaviour of shells of revolution in free vibration", Comput. Mech., 44:45-60, 2009.

キーワード :
Shells, dynamics, frequencies, mode shapes, shell thickness, sensitivity, membrane, bending, shear, coupling


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