このニュースでは、正確な動解析を行うことに関連した問題にハイライトします。両端が固定された円筒形のシェルの単純モデルで調査しました。(下図を参照してください。)
このシェル構造物では、最小固有値のモードシェイプはシェルの板厚に大きく依存します。シェルの板厚が小さくなるにしたがって、円周方向の振動の数が増加します。この現象はシェル特有で、ビームの動解析では起こりません。
シェルのある領域が一様に時間に依存した圧力を受けています。典型的な板厚をカバーするために3種類の板厚(0.01,0.001,0.0001)で検討します。動的陰解法を行います。ここから、最初の目的は、この解析に相応しいメッシュを見つけることです。工学演習で典型的に使われるであろう3種類のメッシュ密度で調査します。いずれもMITC4シェル要素です。円周方向及び軸方向の要素分割は、粗いメッシュとして 40 x 20、中ぐらいのメッシュとして 80 x 40、細かいメッシュとして 240 x 120 です。
動解析に相応しいメッシュは静的な応答も、動的加振の最大の固有値も正確にとらえることができなければなりません。[1,2] それ故、静解析に相応しいメッシュは、動解析には相応しくないかもしれません。同様に、あるシェル板厚に相応しいメッシュは、形状が同じで板厚だけが薄いシェルに対しては相応しくないかもしれません。 両方の概念については、この例題で論証されます。
静解析における最大変位の誤差が、図1に示されています。誤差に参照されている全ての解析は極めて細かいメッシュを使った解析です。上限を5%に設定すると、粗いメッシュは、t = 0.01 と t = 0.001 に対して許容できる精度を持ち、t = 0.0001 に対しては、細かいメッシュが必要とされることが分かります。
励起周波数 ωL = 2 x ωmin で、陰解法の直接積分で動解析を行います。 ωmin は最小の固有値(各シェル板厚で異なる値です。) ωL付近で2%のレイリー減衰を設定しています。
各解析では、時間積分に非常に細かいタイムステップを使っています。最大変位の誤差は図2に示されます。ほとんどの場合、静解析の時のエラーと比べて誤差が増えています。粗いメッシュは、まだ t = 0.01 に対しては許容できます。中ぐらいのメッシュは、t = 0.001 も許容できますが、t = 0.0001 に対しては、変位誤差を満足するには細かいメッシュが必要になります。
上のアニメーションでは、3種類のシェル板厚に対する動的な応答の一部を示しています。 T = 0.0001 のシェルでは、円周方向の振動の数が、t = 0.01 のシェルよりも明らかに多いことが分かります。
Table 1 静解析における最大変位の誤差 (%)
|
t = 0.01 |
t = 0.001 |
t = 0.0001 |
Coarse mesh |
2.57 |
2.51 |
23.5 |
Intermediate mesh |
0.800 |
0.785 |
7.10 |
Fine mesh |
0.0370 |
0.0719 |
0.0864 |
Table 2 動解析における最大変位の誤差 (%)
|
t = 0.01 |
t = 0.001 |
t = 0.0001 |
Coarse mesh |
1.49 |
8.73 |
31.5 |
Intermediate mesh |
1.11 |
0.353 |
10.1 |
Fine mesh |
0.170 |
1.01 |
3.01 |
ADINAでは、動解析に別のオプションがあります。モード重ね合わせ、周波数領域解析、陽的時間積分があります。
動的解析では、精度の良いメッシュは、控えめにみても、4 × ωL までの固有値をとらえるべきです。[1,2] 陽解法は高い周波数を含んだ励起の場合や波の伝播に適しています。通常、安定限界が使うタイムステップサイズを支配します。
このシェルの問題では、陰解法が効果的です。
この例では、動解析に適切な解析タイプとメッシュを選ぶときに検討しなければならない問題についてハイライトします。全てのケースで、効果的に動解析を行うための上述の様々なオプションを持ったADINAのような信頼性のある強力なコードを使うことが重要です。
References
-
K.J. Bathe, Finite Element Procedures, Prentice Hall, 1996, Section 9.4.4
- K.J. Bathe, 2.093 Computer Methods in Dynamics, OCW M.I.T.
http://tiny.cc/Computer-Methods-in-Dynamics
キーワード :
動力学、シェル、周波数、過渡解析、メッシュ収束性、モデリング、MITC4シェル要素
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