ADINA FSI

ADINA FSIは、完全連成した流体構造相互作用をシミュレーションするための業界をリードする製品です。 ADINA FSIは、直接的および反復的な結合スキームを通じて、柔軟な構造の大変形や高剛性の構造を境界に持った高圧縮性の流れなどの困難な問題に対して信頼性の高い堅牢なアプローチを提供します。

A Multiphysics Solution for Complex FSI Analyses

流体と構造の相互作用(FSI)は、流体の流れによって構造が変形するときに生じます。この変形により、流体の流れの境界条件が変化します。

ADINAは、流体が大変形・非弾性・接触・温度依存性による強い非線形応答を示す一般的な構造と完全に連成した問題を計算するために流体構造相互作用機能を単一のプログラムで提供します。完全連成の流体構造相互作用は、固体の応答が流体の応答に強く影響され、その逆も同様であることを意味します。

流体については、ナビエストークス流れは非圧縮性、微圧縮性、低速または高速流れの圧縮性のいずれかになります。構造については、すべての利用可能な要素タイプ(つまり、シェル、2次元および3次元ソリッド、ビーム、アイソビーム、接触面など)だけでなく、利用可能なすべての材料モデルを使用できます。

さらに、ADINAは、流体が音響媒体であると仮定できる場合、非常に効率的な完全結合の流体構造相互作用機能を提供します。

Direct and Iterative FSI Coupling

ADINA FSIは、流体と構造モデルの連成を解くためにFSI直接結合とFSI反復結合の2つの二つの異なる方法を提供している点で特徴的です。どちらの方法も、構造と流体の境界に沿った変位の一致とトラクションの平衡条件を満たします。

変位の一致,                          df = ds

トラクションのつり合い,                 ff = fs

ここで、dとfは変位とトラクションであり、下付きのfとsはそれぞれ流体と固体に対するものを表します。非定常解析では、2次精度の時間積分スキームを使用できます。

Direct FSI Coupling

FSI直接結合計算手法では、流体方程式と固体方程式を1つのシステム(1つの剛性マトリクス)として構成し、線形化してニュートンラプソン法などの反復アルゴリズムを用いて解きます。FSI直接結合のアルゴリズムは、非常に難しいFSI問題、たとえば、柔軟構造の大変形や高剛性の構造を境界に持つ高圧縮性の流れを計算するときに優れた堅牢性を提供します。このようなタイプの問題は、FSI反復結合を用いて計算するのは困難です。

・液封エンジンマウント

Iterative FSI Coupling

流体方程式と固体方程式は、結合システムの対する部分から与えられる最新の情報を常に用いて、連続して個別に計算されます。FSI反復結合計算手法は、FSI直接結合計算手法よりも必要なメモリが少ないため、非常に大きな問題を計算するのに適しています。

ADINAの2つの手法(反復および直接結合)の提供は、最も効率的な方法で幅広い問題を成功裏に解くために不可欠なものです。

Advanced Computational Fluid Dynamics Schemes

ADINAは、最先端の計算による固体および流体力学スキームを単一のプログラムに組み込んでいます。流体解析の場合、ユーザーは頂点ベースのFCBI(Flow-Condition-Based Interpolation)スキームとセルベースのFCBI-Cスキームのどちらかを選択できます。

FCBI有限要素スキーム:流れ状態にもとづく速度補間が安定化のために用いられます。有限要素方程式は、ニュートンラプソン反復で整合性のあるヤコビ行列を計算して組み立てられます。したがって、高い非線形性をともなう非常に複雑で実用的な問題を解くことを可能にする完成された流体構造システムのために一貫した剛性マトリックスを構築することができます。 FCBI-C有限要素スキーム:すべての解変数は要素の中心で定義され、速度と圧力の間の連成は反復的に処理します。したがって、FSI解析では、固体モデルと流体モデルの間の結合も反復的に処理します。このスキームは、非常に大きな実用的な問題の計算を可能にします。

これらのスキームは、レイノルズ数の小さなものから大きなものまで、あらゆるレイノルズ数流れに適用できます。

計算領域の一部が変形すると、流体の流れのオイラー記述は適用できなくなります。したがって、ADINAは、Arbitrary-Lagragian-Eulerian(ALE)の定式化を用いて流体流れの支配方程式を解きます。


液封エンジンマウントのFSI解析-Direct FSI Couplingの例

Key Features of ADINA FSI

1.FCBIスキームは優れた安定性を提供し、非常に大きなレイノルズ数と非常に小さなレイノルズ数の両方の問題に適用できます。

・New FCBI Elements for Fluid Flow(流体流れのための新しいFCBI要素)

2.FSI解析は、非圧縮性、微圧縮性、低速圧縮性、および高速圧縮性のすべての流れタイプで実行できます。加えて、非ニュートン流体、乱流モデル、VOF法を含むすべての流体材料モデルでFSI解析を利用できます。

・FSI Analysis of a Deformable Container using VOF(VOFを用いた変形するコンテナのFSI解析)
・破裂するパイプのFSI解析

3.構造の大変形が生じるFSI解析では、リーダーフォロワー拘束、スリップ境界、拡張壁を含むメッシュ品質を適切に制御するための高度な移動メッシュ機能を提供します。これらのALE条件は、大きな変形が起きる場合でも、移動するメッシュの品質維持を保証します。

・車のドアシールのFSIシミュレーション

4.FSI計算機能の汎用性と計算精度をさらに高めるために、適切なメッシュグレーディングが用いられるように流体メッシュの適合と修復機能を提供し、構造の非常に大きな変形に対応できるようにします。このアダプティブメッシュ手法は解の勾配に作用し、流体領域全体の適切な要素サイズのために、流れのさまざまな領域でメッシュを細かくしたり粗くしたりします。

・FSIにおけるアダプティブメッシング
・アダプティブメッシュを使ったパラシュートのFSI解析

5.ポテンシャルベースの流体要素は、音響流をともなう効率的なFSI解析に利用できます。音響流と相互作用する構造の周波数解析にも使用できます。

・ポテンシャルベースの流体要素を使用した液体貯蔵タンクの解析
・非粘性流体と連成した構造の周波数解析

6.ADINAは、流体モデルと固体モデルで任意のメッシュを使用できます。さらに、流体メッシュと固体メッシュは、流体と構造の境界面で完全に一致する必要はありません。

・Patch Test Using Arbitrary Incompatible Fluid and Solid Meshes on the FSI Boundary (FSI境界上で一致しない流体と固体メッシュを使用したパッチテスト)

7.流体モデルと構造モデル間の熱および多孔質性の連成を利用できます。

・シェル要素を含む熱流体構造相互作用

・サーマルFSI機能のベンチマーク
・プレート熱交換器のTFSI解析

8.FSI解析では、すべての構造要素、接触機能、および固体材料モデル(弾性、粘弾性、ゴム、塑性など)を利用できます。

9.ギャップ境界条件は、流体モデルで表すことができます。 ADINAの接触機能と組み合わせたギャップ境界条件は、自動車や生体医療への適用の中で弁の開閉をモデル化するのにうまく使用されています。

・Simulation of Aortic Valve (大動脈弁のシミュレーション)

10.スライディングメッシュ機能を備えたFSI解析が利用可能です。スライディングメッシュとFSI解析を組み合わせると、回転機器やターボ機械の解析に役立ちます。

・FSI Analysis of a Turbine Using a Sliding Mesh (スライディングメッシュを使用したタービンのFSI解析)

11.一方向結合FSI解析は、効率的なオプションです。このタイプの解析は、固体の変形が小さく、流体応答への影響が無視できる場合に非常に役立ちます。したがって、流体モデルと固体モデル間の反復を必要としません。

・一方向連成流体構造相互作用


ALEムービングメッシュのデモンストレーション レシプロコンプレッサー


フレキシブルなリードバルブを備えたレシプロコンプレッサーにおける非定常粒子追跡

A Software Package with Wide-Reaching Capabilities

ADINA FSIは、多くの産業用アプリケーションで広く使用されています。例えば、

自動車
ショックアブソーバー、液封エンジンマウント、バルブ、ポンプ、コンプレッサー、タイヤのハイドロプレーニング、エアバッグの展開、排気システム、車のドアシールなど。

流体コンテナ
地震波を受けるオイルタンク、燃料タンクのスロッシングなど。

生体力学
心血管力学、脳脊髄力学、インプラント/補綴設計、細胞/組織力学、人工肺、薬物送達、眼疾患、補助循環装置、手根管、声帯/上気道、人工心臓弁、動脈瘤、胆汁流、バイオリアクター、など。

ターボ機械
インペラ、ガスタービン、風力タービンなど。

原子力発電プラント
制御棒の落下、ブローダウン状態など。

空力弾性
飛行機の翼のフラッター

風工学
高層ビル、斜張橋などへの風の影響

コンプレッサー、ポンプ、バルブ、パイプシステム
ギアポンプ、インピーダンスポンプ、チェックバルブ、膜バルブなど。

シール
流体力学シール、面シール、ブラシシールなど。

微小電気機械システム (MEMS)

ダムと貯水池の相互作用
さまざまなタイプのダム(コンクリート、ロックフィルなど)の動的解析

その他の用途
渦励振(VIV)、ジャーナルベアリング、パラシュートの展開、製紙産業、プリンター、水中構造物(潜水艦、ダムのラジアルゲートなど)、拡声器、補聴器、水圧破砕(亀裂を通過する流れ)、メタルハイドロフォーミングなど。


ガスショックアブソーバーの流体構造解析