油井(ゆせい)管用のネジ継ぎ手の解析

2011.4.15 Analysis of Threaded Connections

Analysis of Threaded Connections

油井(ゆせい)管用のネジ継ぎ手の解析

 

石油探索でパイプやチューブやケーシング間をより良く接続する技術は、掘削技術にお
ける急速な進歩により培われてきました。
(例えば、傾斜掘削、深海洋掘削などがあります)
油井管用継手(プレミアムコネクション)は、重要な掘削プロセスで、経済性と
環境損失の観点から、様々な継手の不具合に対応するために、使用されます。
1は、上記のような継手のサンプル図です。
 
このショーケースで、私達は、SIM&TEC S.A社のご好意により提供された、ADINAを
使用したネジ継手の有限要素法による研究を紹介します。
彼らは、油井で使用される、管状製品の様々な研究開発プロジェクトで関わってきて
おり、そして、OCTG(Oil Country Tubular Goods)と呼ばれるパイプラインの団体の
パイプにも使用されています。
 
2は、油井管用継手(プレミアムコネクション)の代表的な軸対称ソリッドの有限要素
モデル図です。ミーゼスの降伏条件での弾塑性材料モデルで仮定します、そして接触条
件はボディ間に設定します。
これらの継手で発生した大きな塑性歪が生ずるため、大歪の弾塑性モデルを考慮する必
要があります。
 
 
1、準油井管用(セミ-プレミアム:右図)と油井管用(プレミアム:右図)のネジ」継手
 
2、油井管用(プレミアム)継手の有限要素モデル
 
ネジ継手は、以下の異なる不具合現象が生じます。
 
     ジャンプアウト:図3は、バルブの張力による、結合部内の弾塑性歪とジャンプア
ウト現象が発生します。
 
     局所的塑性変形:図4は、油井管用(プレミアム)継手でのネッキング現象をしめ
します。不具合は、継手領域外の位置で発生します。
負荷変動による、塑性領域の発生とそれにより発生する局所的現象をグラフに示
します。
 
     大きな塑性歪を伴わない、パイプ材料の破裂
 
上記の構造上のネジ継手の不具合に加えて、シール領域の金属間同士の非接触による
機能的な不具合もまたあります。(図2のmetal-to-metal seal参照)
 
3、張力によるAPI 8R継手ジャンプ-アウト現象
4、油井管用(プレミアム)継手内のネッキング現象の有限要素解析
 
ページトップの動画は、円錐型拡張ツールの挿入による、ネジ継手の変形のアニメーションです。
上記のとおり、プロセス中、ネジ山間の大きい接触状態(separation/sliding)を考慮するために、
しっかりとした接触アルゴリズムを使うことが重要です。
 
5は、拡張ツールの挿入による、継手内の塑性歪の発生をしめします。
注意:大きな塑性歪は、継手をつなぐ工程中に発生します。
 
また、これら継手は、高いトルクや圧縮また、温度サイクル荷重にさらされます。
疲労する事も設計時に考慮する必要がある、重要な課題です。
6は、応力集中係数のコンタ図を示しています。
図で定義されるように、疲労関連の不具合において、継手のどの部分が疲労しやすいか傾向
を計測できます。
 
5、拡張ツールにより相当塑性歪のコンタ図表示
 
6、応力集中係数(SCF:Stress Concentration Factor)のコンタ図
 
この研究は、オイルとガス産業の解析問題において、ADINAの高度な機能のいくつかを紹介していま
す。他の適用事例については以下を参照下さい。
 
     弾塑性大ひずみを考慮したパイプのつぶれ解析
 
     流体構造完全連成解析:タンク内のオイルのスロッシング
 
     ポテンシャルベース流体を用いた貯蔵タンクの解析
 
参考文献
P. Lacki, K. Adamus, "Numerical simulation of the electron beam welding process", 
Computers and Structures, 2011, in press.
 
キーワード:
OCTG(Oil Country Tubular Goods)、ネジ継手、API継手、油井管用(プレミアム用)継手、
疲労、応力集中係数、有限歪弾塑性、接触、ネッキング、局所
 
ご提供:アルゼンチンSIM&TEC S.A.,