自動車のパワートレインの振動解析(SimulationX Powertrain振動解析)

近年の自動車のパワートレインでは、エンジンのOn/Offや複数モータによる非連続なトルクやギア等で構成されるため、乗心地等の振動を低減するためには、振動要因の考慮できるシステムモデルの作成・分析・評価が必要になります。

当社の1DCAEは、システムの時刻歴計算だけでなく、様々な振動解析ツールを使ったモデルの分析・評価が可能です。ここでは、SimulationXにおけるトラックのパワートレインモデルを例にとり、問題箇所の原因分析・改善例を紹介します。

パワートレインモデル

非線形の特性を持ったクラッチダンパーに、直列6気筒のエンジンが接続されています。
エンジン1気筒が失火したという状態で、エンジン振動によるパワートレイン(シャフト)の振動を評価します。

モデル化対象
SimulationXモデル

時刻歴解析(Transient Simulation)

計算結果から、非定常で且つ散発的に共振が見受けられます。
これらの現象について、振動解析ツールを使って、原因分析と対策を検討します。

計算結果:シャフトの回転速度
計算結果:シャフトの回転角速度

振動分析ツール(Order Analysis, Natural Frequency, Steady State Analysis)

次数解析(Order Analysis)によって、45~55Hz付近に共振があることがわかります。
固有値分析(Natural Frequency)によって、原因箇所(Clutch及びDrive Shaft)を特定することができます。
周波数応答(Steady State Analysis)によって、3次の共振が顕著であることが確認できます。
また、1気筒失火の影響に依り、1.5次及び2次モードにも影響していることがわかります。

次数解析(Order Analysis)
固有値分析(Natural Frequency)
周波数応答(Steady State Analysis)

モデルの改善

Clutch 及び Drive Shaftの剛性を変更することで、振動を低減することができました。

改善前の計算結果と改善後の計算結果