今回のニュースでは、
ADINAによる世界最大級のプラズマ核融合実験装置、Wendelstein 7-X (W7-X) [1]の主構成部品の
非線形有限要素解析を紹介します。
解析を行った部品は超伝導コイルのサポート構造です。
装置の解析、設計、製造は、ガルヒンク(ドイツ)にあるMax Planck Institute for Plasma
Physicsで行われました。
これらの結果は、いくつかの雑誌([2][3])で報告されています。
図1が示すのは、
プラズマ核融合装置とそのサポート構造です。図2では、サポート構造の有限要素モデルを示しています。

図1. W7-X装置の主構造

図2. サポート構造の有限要素モデルと対称軸
構造と荷重の対称性を活かし、
またADINAの拘束方程式を使用した特殊な境界条件を導入することによって、
有限要素モデルを全システムの1/10まで減らし、いくつかの荷重ケースの解析を行いました。[2]
図3には、これらの解析で使用したサポート構造の代表的な周期対称部品を表示しています。

図3. サポート構造の代表的な周期対称部品の有限要素モデル
モデルには、38,000の8節点ソリッド要素、
24,000の8節点シェル要素、12,000のギャップ要素、40のコンタクトサーフェスが含まれます。
ギャップ要素とコンタクトサーフェスにより、モデルは非線形を持ちます。
モデルは、プラズマ核融合コイル内の電流により、電磁力
を受けています。
モデルの変位場のコンタープロットは、
図4に示しています。未変形の形状が破線で表示されています。図5では、有効応力(フォンミーゼス応力)が示されています。

図4. 変形量のコンター図

図5. 有効応力コンター図
今回の問題で注目するべきことは、
結果の正確さと信頼性が非常に重要となる複雑な工学的問題の解析にADINAが使用されたことです。
他にも下のような事例があります。
キー
ワード:
プラズマ核融合、原子炉、電磁力、拘束方程式、接触、ギャップ要素、非線形有限要素、ADINA
Reference
- The WENDELSTEIN 7-X Project
Shaping the future
- N. Jaksic and J. Simon-Weidner,
Design analysis of the support
structure stressed by large superconducting coils for a plasma fusion
experiment, Computers and Structures, 81 (2003) 697-714.
- V. Bykov, F. Schauer, K. Egorov, P.
van Eeten, C. Damiani, A. Dübner,
M. Sochor, L. Sonnerup, A. Capriccioli, A. Tereshchenko, N. Jaksic, W.
Dänner, M. Rumyancev and D. Zacharias, Structural analysis of W7-X:
Main results and critical issues, Fusion Engineering and Design,
82 (2007) 1538-1548.
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