スウェーデンには、10基の原子炉があり、国内の
約半分の電気を供給しています。
現在の最適なエネルギー源に関する懸念により、多くのスウェーデン人は、競争力、あるいは環境への影響を考えて原子力は望ましい選択だと
考えています。原子力には毒物汚染の危険性が伴うので、安全、効果的な使用、原子炉のメンテナンスはとても重要です。
ADINAの信頼性と解析の有効性によって、ス
ウェーデンの多くの原子炉研究に
ADINAが使われています。今回のニュースではそのうちの一つ、加圧水型原子炉におけるパイプ破損の影響の研究を紹介します。
この研究は、Ringhals AB 社の委託を受け、Onsala Ingenjörsbyrå (スウェーデン、Onsala
Engineering AB 社)が
行いました。下の図1に、今回の問題の原子炉を示しています。

図1.解析を行う加圧水型原子炉
全体のジオメトリモデルは、
Pro/Engineer で作成し、
メッシュと境界条件セットはANSAで作成しました。
全モデルは、800,000以上のソリッド要素、構造と流体のインターフェースの55,000節点からなり、計1600万自由度を持ちます。
モデルは図2に示します。図3には、原子炉容器モデルに使われた部分メッシュを示します。

図2. 原子炉の有限要素

図3. ソリッドからなる部分メッシュ 構造、流体要素が原子炉容器のモデル化に使われています
初めに、システム内でのパイプの破損によってボルトにかかる荷重を計算します。
ボルトは、原子炉容器の冷却液の流れを制御するバッフル板を止めるためのものです。
その後、パイプ破損に対するシステム全体への応答を計算するために、主要なシステムを含んだ解析にまで範囲を広げます。
有限要素モデルは、Nastranフォーマットで
AUIにインポートされ、
ADINAで解析を行うためのモデルをAUIで完成させました。最後にAUIでポスト処理を行いました。
上の動画は、原子炉冷却ループのコールドレグ内の
パイプ破損
(動画の左側に破断したグレイのラインで示しています)による原子炉容器内の圧力分布です。
下の図4には、破断直後の原子炉容器の断面における圧力分布を示しています。

図4. 原子炉容器断面の圧力プロット
Onsale社のエンジニアは、解析結果から、
パイプ破損による
原子炉容器の構造的な応答(図5)とボルト力の最大値を予測することができました。

図5.原子炉容器の塑性領域
すでに多くの有用な結果が出ていますが、
追加解析のためにモデルをさらに改良することももちろん可能です。
流体‐構造の連成を含む、ADINAによる動的線
形、非線形解析の強力な機能を少しだけ紹介しました。
とりわけ原子炉の研究で重要とされる、効果的かつ信頼性の求められる方法で、その他のタイプの解析も行われます。
Onsala
Ingenjörsbyrå AB 社の提供による
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