ADINA陰解法ソルバーの分散メモリ( DMP )版で、
スパースソルバー(構造、CFD、FSI )、3Dイタレーティブソルバー(構造、FSI )ともに使えるようになりました。
DMPソルバーは、使用できるCPUにモデルマトリックスを分配します。
プロセッサーは並列に働き、計算負荷と、解析に必要なソルバーのメモリは分割されます。
大規模の問題で、CPUあたりに必要なメモリが小さくなることにより、さらに大きなモデルでも
フィジカルメモリ(in-core)内での解析が可能になります。
現行のバージョンでは、このクラスの問題、つまりIn-coreメモリに収まらない問題においても
陰解法のDMPソルバーを使用する大きな利点があります。
今回は、ある例題を用いてDMPのメリットを
示します。シミュレーションに使用するのは、上の図のような工業用部品です。
モデルは500万強の自由度を持ち、Glue Meshが使われています。
また、100以上のボルトと、摩擦を考慮した複数の接触サーフェス、大変形、と多くの非線形性が含まれたモデルです。
ボルトプリ荷重がかかり、続いて外部からの荷重を受けます。
Intelの初期製品 Xeon x86-64
ワークステーションのクラスターで、3D-イタレーティブソルバーによる解析が実行されました。
クラスターは、低価格な商品 Gigabit Ethernet Switch で接続されています。
それぞれデュアルプロセッサーを持つ4台のコンピューターで、DMPが実行されました。全部で8CPUを使用しています。
モデルデータとソルバーに必要な容量は、
クラスターの4台のコンピューター上で使用できるメモリ内に容易に収められます。
解析時間は6.4時間です。
ワークステーションのうちの1台を使って、比較解析を行ったとすれば、Out-of-coreでの解析が必要となるため
さらに時間がかかるでしょう。
解析の最終ステップのフォンミーゼス応力結果を下の図に示します。
ボルトのエリアに高い応力が出ているのがわかります。
今回紹介した新しい陰解法のDMPソルバーと、
以前のニュース( 2007 10/15のADINAニュース )
で紹介した陽解法のDMPソルバーによって、ADINAの大規模モデルの解析機能は強化されました。
ADINAのDMP版の効果をさらに高めるために、私たちは開発を続けていきます。
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