ADINA8.5では、動的陽解法でメモリ分散処
理(Distributed Memory Processing –
DMP)機能が使えるようになります。要素力、変位、接触状態の計算が、計算領域に従って、複数のプロセッサーに分散されます。この機能によって、1つの
計算領域、1プロセッサーでの解析に比べ、解析時間、要求メモリともに大幅に節減されます。もちろん結果は使用したプロセッサー/ドメインの数に依存しま
せん。
今回はADINAのDMPの有効性を示す3つの例
題を紹介します。例題はそれぞれ1〜8プロセッサー/計算領域を使用して解析しています。最初の例は、リジッドエリアに囲まれた複数の3Dブロックの衝突
接触解析です。一つのブロックが他のブロックに激しく衝突することで起こります。二例目は携帯電話の落下テストです。3例目は鉄球の衝突によって、薄い板
に穴を開ける解析です。

リジッドエリア
に囲まれた3Dブロックの衝突

携帯の落下テスト

鉄球の薄板への衝突と穴あけ
下のグラフは、
3例題の解析から得られた解析速度
が上がる様子を示しています。全てのケースで、分散領域数2、4、8で、非常に解析速度が上がっていることがわかります。
上の動画は、鉄
球とプレートの衝突による変形で
す。領域分散を行っています。(8領域)
信頼性の高い要
素と解析技術を使用する、という
「ADINA哲学」によって、動的陽解法が行われています。つまり、陰解法で使ったメッシュがそのまま陽解法でも使えます。ADINAによる陽的な時間進
行法は、他の陽解法のコードよりもコストがかかってしまうかもしれません。しかし、私たちは今後もADINA哲学に従ってADINAの動的陽解法の有効性を高めて
いくことに焦点を置き続けます。また、陽解法と陰解法で同じメッシュが使えるということで、陰解法から陽解法、あるいはその逆も直接リスタートをかけられ
ます。
これらの例題
は、HP
x86_64の四つのワークステーション( 1.8 GHz Opteronのデュアルプロセッサー、Red Hat Enterprise
Linux Version 4 とHP MPI Version 2.02.05 )で構成されたクラスターによる解析結果です。
陽的時間進行法
におけるADINA
DMP機能は、静解析、あるいは動的陰解法の機能を補い、また、多くの衝突の問題においてADINAをより効果的な解析ツールとするものです。
近く紹介するニュースでは、静解析、動的陰解法におけるADINA DMP機能について紹介します。
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