プレート式熱交換器の熱-流体-構造解析(TFSI)

2015.10.30 TFSI Analysis of a Plate-frame Heat Exchanger

プレート式熱交換器の熱-流体-構造解析(TFSI)

熱問題における流体と構造の相互作用のふるまいを検証する重要性は、熱交換器、ディスクブレーキの冷却、 プリント基板の部新実装、パワープラントのパイプ冷却、などなど、たくさんの適用製品に見られます。

ADINAは、流体構造連成解析(FSI)における1方向および双方向の熱問題にも対応しています。 一方向カップリング(または、Conjugate Heat Transfer)のFSI解析では、固体の発熱の考慮なしに、エネルギー式が流体ソルバーによって計算されます。この方法では、流体から固体へ熱が流れます。 熱-流体-構造(TFSI)のような双方向熱カップリングのFSI解析では、流体領域と固体領域で別々にエネルギー式を計算し、流体と構造の界面で同じ温度、同じ熱流束になるように領域を接続します。TFSI解析では、流体と構造が完全に接続されることになります。

TFSI解析の大きな利点の一つに、固体モデルにおける発熱(例えば、摩擦熱、塑性変形、粘性作用)が流体場の温度に影響する問題が挙げられます。適用することで、問題のマルチフィジクスの関係をより近く反映した結果を得ることができます。

下の図1は、ADINAのTFSIを用いてプレート式熱交換器をモデル化したものを示しています。構造部は、波板になっており、流体は熱側と冷たい側で熱交換が行われます。

図1:3枚の板で挟まれた熱交換の考慮モデル図

FSI境界を構造と流体の界面に設定し、流体と構造の境界で熱を接続させます。TFSI解析によってフルカップリングで定常計算を実行します。

図2は、熱い側(左)と冷たい側(右)の熱交換による流体の温度を水平断面で示しています。

図2:き裂の無いノズル。AUIのADINA-Mモジュールでジオメトリ作成しました。

流体に接する板のところのFSI境界に沿った温度を図3に示します。

図3:FSI境界上の温度のバンドプロット

熱交換の熱伝導率は、以下の式によってADINAの結果から計算することができます。

ここで、Qは熱量、Aは、熱伝達の断面積、Uは、全体の熱伝導率、ΔT_{LM}は、対数平均温度勾配です。

対数平均温度勾配は、次の式で表されます。

そして、熱伝導率は、次の式で計算されます。

この三枚に挟まれた熱交換における熱伝導率は、液-液プレート式熱交換器(文献参照)における代表的な範囲(3000~6000W/m^2K)になっているのがわかります。

ADINAのTFSIは、流体と構造モデルにおける熱の影響を考慮して完全カップリングの流体-構造の連成計算を提供します。

参考文献

McCabe, W. L., J. C. Smith, and P. Harriott. Unit Operations of Chemical Engineering, 6th Edition, McGraw-Hill, New York, NY, 2001

キーワード

流体-構造相互作用、FSI、熱-流体-構造相互作用、TFSI、平板熱交換