ADINAのメッシュツール

2015.05.30 Meshing Tools in ADINA

ADINAのメッシュツール

ADINAはさまざまな要素タイプを高品質で生成する助けとなる、強力なメッシュツールを提供します。本ページでは、Advancing Front法とDelaunay法を使った三角形分割のフリーメッシュ生成の概要について紹介します。また、ADINAの新しく強化したレイヤーメッシュもご紹介します。メッシュツールのより詳細については、新しい「ADINA Handbook」に掲載されております。(新しい「ADINA Handbook」はADINA Communityよりダウンロードできます。)

Advancing Front法

Advancing Front法は閉じた外側の境界の領域から内側に向かい正面に要素を追加していく方法になります。メッシュは、外側の閉じた境界領域から内側の領域に向けて完全に調和するまで、メッシュ生成が進展します。

Advancing Front法の利点は、境界の近くで生成される高い品質の要素です。欠点としては、3次元でのメッシュ生成の進展が難しい事と、内側での要素品質があまり良くない事です。

Delaunay法

Delaunay法は、2次元の点(節点)から得られる、三角のメッシュのDelaunay基準を満たすことによってメッシュを生成します。三角形の外接円で、三角形の最小の角度が最大化される所で構成されます。これと同じ発想で、3次元でも球が四面体を取り囲む扱いをしています。Delaunay法は、追加節点を挿入して要素品質要求を調和させメッシュ生成します。

Delaunay法の長所は、3次元の複雑な領域をほどよいメッシュで調和させることです。さらに、Delaunay法を使う時に、いくつかの高度なオプション〈curvature-based meshing、automatic grading, and sizeなど〉があります。

図1はAdvancing Front法とDelaunay法の比較です。Advancing Front法(左図)のほうがDelaunay法(右図)に比べて境界から離れて形成した要素が規則的なパターンで高品質です。

図1:Advancing Front法で作成した2Dメッシュ(左図)、Delaunay法で作成した2Dメッシュ(右図)

境界層(Boundary Layer)メッシュ

境界層メッシュを作成する方法は、Advancing Front法と概念的に同様です。しかしながら、Advancing Front法で要素を作成するより、境界層メッシュで作成する手法の方が高度です。

ADINA9.1の境界層メッシュでは、要素の厚さより境界層の厚さが大きく、シャープなコーナーに適用できます。 図2は、全エッジに境界層メッシュを行った例を示します。境界層メッシュは境界層は四角形要素を構成し、内部のメッシュは三角形要素で構成します。シャープな角度付近の領域でADINAが自動的にどのように処理するか着目します。境界層メッシュは、中心部の領域より、垂線からシャープな角の45度までの隣接エッジに滑らかに推移させます。

図2:2Dメッシュの境界層メッシュ

もちろん、3Dでも境界層メッシュは生成できます。その場合、ユーザーは境界層メッシュとして、六面体(brick)要素か、五面体(wedge)要素を選択できます。境界層メッシュに六面体要素を選択した場合、ボディ内部はフリー混合メッシュにより、六面体、ピラミッド、四面体要素の組み合わで構成されます。境界層メッシュに五面体要素を選択した場合、ボディ内部は、フローメッシュにより、四面体要素で構成されます。ユーザーは各境界層に、境界層の層数、進展タイプ、トータルの板厚を指定できます。

図3は滑り無しの壁条件を適用するためのマニホールドの全面に境界層メッシュを生成した例です。

図3:滑りなしの面に沿った、境界層メッシュの3D要素生成

境界層メッシュは、CFD(流体解析)問題として多く利用されていますが、構造解析問題にも有効です。例えば、図4のようなボディの接触面に沿って生成した境界層メッシュの接触解析問題です。結果として、メッシュは接触表面直下の最大応力の応力勾配と位置を正確に捕えることができます。本ページトップの動画は、曲面的に接触して応力分布が、材料に従順な変形となることを示しています。

図4:境界層メッシュの構造解析に適用した接触解析問題

本ページでは、ADINAで使われる主なfree-formの三角形メッシュ法と、ADINAの境界層メッシュが、構造、CFD(流体)FSI(流体構造相互作用解析)のマルチフィジクスの問題に対しても高品質の要素生成ができることを説明しています。

新しい「ADINA Handbook」は、多くのADINAの機能説明、高度なメッシュオプションの方法や機能などを説明しています。また、このHandbookは、例題や詳細なイラストが描かれており、例題毎のコマンドも掲載しています。ユーザーは、自身のinファイルにコマンドをコピー&ペーストして利用できます。「ADINA Handbook」は、ユーザーに即役だち、自信を持って、ADINAの高度なメッシュ機能を自身のモデルにチャレンジできます。

キーワード

メッシュ、Delaunay法、Advancing front法、境界層メッシュ、automatic grading、size functions