非適合モード要素解析での予期しない事象

2014.4.15 Surprises in Analyses with Incompatible Modes Elements

非適合モード要素は、実際に有限要素解析で毎年、幅広く利用されています。ADINAでは、2Dの4節点要素、3Dの8節点要素、MITCシェルの4節点要素が非適合要素として利用可能です。最近のADINAバージョンでは、この非適合モードオプションがデフォルトで指定されています。

要素が大歪みとなるモデル化する解析では、非現実的な表示となることが知られている一方、私たちは、非適合モード要素のメッシュが、シンプルな非線形解析では、誤りのモードを含むことを見つけました。実際には、これらの要素が微小変位および微小負荷条件の下で、幾何学的非線形で、要素が大きな縦横比(アスペクト比)にあることです。

本ページの目的は、この予期しない挙動の、いくつかの実例の解析結果を示すことです。この挙動の論理的説明と解析結果は参考文献を参照ください。

シンプルな例題、図1で示す、2D問題を考えます。大変形/微小歪の定式化を使用しますが、モデルは図のように、計算では微小変位のみです。

図1 2D問題での概略図

固有値解析後の変位を示します。初期固有値は負の値です。モードシェープは図2に示されます。縦方向のモーダル応力に従っています。このモードは明らかに間違いです。

図2 2Dモデル問題での初期固有値のモードシェープ

更なる事例として、図3,4のねじ山の解析を考えます。ねじ山の材料は等方硬化則の2直線近似の弾塑性材料に理想的です。ナットは剛体面とし、摩擦接触はネジとナット間に想定します

図3 ねじ山の概略図と詳細図
図4 ねじ山の有限要素メッシュ

8節点の非適合モード要素を使い(少量の6節点プリズム要素をふくみます。)大変形/微小歪の定式化を用います。ねじ山のピッチがメッシュに含まれることに注意します。ねじ山の要素のアスペクト比はとても大きいもので、接線の方向にとても細長い要素になります。しかしながら、もしメッシュのアスペクト比良いものが使われた場合、メッシュ数が膨大となり、この解析はとても非効率な解析となります。そのため、細長い要素をつかっています。

軸方向の変位はネジに適用され、ねじ山はナットのミゾ山と接触します。

ねじ山が接触するとき、ネジ山とネジの間でフィレット部に塑性変形が発生します。さらに負荷されると、誤ったモードが発生します。トップの動画は相当応力と誤ったモード発生を示します。変位が、解析の全体にわたり、小さいままであることに注目してください。

この要素の挙動は、予期しない事象とともに、これらの要素が非線形の状況の中で、十分注意して使用しなくてはいけないと確信します。ADINAの開発ポリシーは解析結果の信頼性が最優先のため、非適合モードのオプションはADINA9.0.2からはデフォルトでは使用しない設定に変更されました。

参考文献

T. Sussman and K.J. Bathe, "Spurious modes in geometrically nonlinear small displacement finite elements with incompatible modes", Computers & Structures, to appear.

キーワード

非適合モード要素、誤りのモード、形状非線形、微小歪、微小変形