ビーム要素を使った骨組み解析

2013.7.30 Frame Analysis using Beam Elements

ビーム要素は複雑な物理問題をシュミレートするために工学および科学の世界で 幅広く用いられています。計算上、解析モデルを簡単に作成することができ、 有限要素式のマトリックスは小さなバンド幅になるために、この要素の利用は、 効果的なのです。しかし、ビーム要素は、例えば、閉断面や開断面のねじりでは、 非線形解析がかなり複雑であり、各種の運動学的および応力の仮定を設けて 定式化しています。もちろん、現象をシュミレートするにはビーム要素の利用は 的確であり、本質的なビーム要素の仮定は合理的なものです。

ADINAの解析者は、一般的な非線形解析で、’標準ビーム’とさらに強力な ’warping beam’を使うことができます。この二つの異なるビームのみが、両方ともに エルミート関数で表現される変形仕様にもとづき、構造モデリングの簡素化のために 提供されています。要素は、各種断面があり、線形弾性材料と非線形材料における 大変形に使うことができます。開断面のビームでは、ビームの長さに沿ってねじれ角 の変化を考慮するためにwarping beamを用いるべきです。もちろん、局所部に関する ウェブやフランジの座屈は表せません。

本文の目的は、典型的な解析にADINAのビーム要素を用いることと、シェルモデ ルから得られた結果とビームの結果の比較を示すことです。

図1.に示す骨組み構造を考慮します。フレームは、柱には箱形断面、桁材には I形断面で構成されています。

図1 骨組みの図

部材の仕様は、下の表1に簡単にまとめてあります。

表1 骨組み材の断面寸法と材質

解析の目的は、様々な荷重レベルにおけるフレームの横変位を求めることです。 この種の解析には、幾何学上と材料上の非線形を考慮することが重要になります。 骨組みの解析では、追加の変位とそれに伴う幾何学的非線形性の効果が結びついて、 非弾性の振る舞いを増大させることなります。

ビームモデルとシェルモデルの二つの骨組みモデルを採用します。

ビームモデル:柱には、標準ビーム要素(warpingなし)による箱形断面を用います。 桁材には、warpingビーム要素によるI形断面を用います。柱と桁の接続に剛体リンク を使います。

シェルモデル:MITC4シェル要素を全体で用います。同様に柱と桁の接続には剛 体リンクを使います。

次に結果を示します。

周波数解析:最初の数個の固有周波数/モードは、下の表2と図2と上の動画でも 示されるようにビームモデルとシェルモデルでほとんど一致しています。 ここで、I形断面のビームには’warping beam'を使用したことが重要で、 そうしなければ、間違った結果が得られることになります。

表2 骨組みモデルの自然周波数
図2 ビームモデルとシェルモデルを用いて計算されたモード1のフレーム形状

図3は、解析からの荷重-たわみ曲線を示しています。

図3 各種解析からの荷重-たわみ曲線

線形弾性解析:二つのモデルの剛性は類似しており、シェルモデルはわずかに ビーム要素よりも柔らかい。この差は、エルミートビーム要素のせん断変形効果 の不足が主な原因である。

大変形線形弾性解析:二つのモデルともに荷重の増加にともない柔らかくなる。 P-delta効果のためである。また、桁材の一つが図4で示されるように座屈を起 こしている。

MNO弾塑性解析:両モデルともに限界荷重があり、シェル要素が僅かに高い限界 荷重になっている。

大変形弾塑性解析:両モデルともに限界荷重に達した後、柔らかくなっている。 限界荷重はMNO解析で得られたものよりも小さい。シェルモデルはビームモデルよりも より急激にやわらかくなっている。この追加されていく軟化はシェルモデルの局所部の 座屈によるものである。これは、ビーム要素で捉えることはできない。

図4 ビームモデルとシェルモデルの大変形解析の結果

明らかにビームモデルの優位性は、全体的に簡素で、モデル定義も簡単で、計算速度も 速い一方でシェルモデルの優位性はせん断変形と局所部の座屈効果を含んだときの能力にある。

局所座屈が重要でないなら、断面オプションの定義や弾塑性材料モデルによる ADINAのビーム要素には骨組み構造やその他の構造の幾何学的非線形性と材料非 線形性にかなりの有効性がある。

このようなビーム要素をFSIやマルチフィジクスを含む、他のすべての計算機能で 利用することができ、ADINAを多くの適用で強力なツールにしている。

キーワード

ビーム要素、warping、大変形、MITC4シェル要素、局所座靴、骨組み解析、 弾塑性、P-delta効果