メカニカルカーボン被膜シールの最適化
2013.4.15 Optimizing a Mechanical Carbon Face Seal


シールは産業機械で豊富に使われており、大きな負荷と高い温度の条件下で 正しく機能することが極めて重要になります。 実際に、例えば飛行機のタービンエンジンの故障を考慮すると、それらは人の生死につながります。 したがって非常に信頼でき、かつ正確なシールデザインの解析が一番重要です。
今回のショーケースでは、小型ガスタービンエンジン用のメカニカルカーボンの皮膜シールを最適化するために、 非常に正確な結果が必要になるADINAを使った興味深い利用例に注目してみます*。 シール被膜のたわみは百万分の1インチになります。 シールはベアリングサンプ(潤滑オイルの油だめ)のオイルシール に用いられるもので、図1に示します。 シールは、滑り速度390ft/sec、計算したPV(圧力-速度)258,000lb/in2-ft/minになる60,000回転で運転します。 シールにはエンジンのパワーを可変にするシャフトの軸方向移動に 対応する必要があります。


軸受内輪、2つのクランプスリーブから成り立つ有限要素モデル

初期シール設計の熱-構造解析は図4に示されるようにシール面に極端なコーニング角 が見られます。 コーニング角はADINAで予測し、シール面に対し158μインチもの極端な コーニング角になっています。 カーボン温度の最悪なケースは、短い時間で重度の障害となる 油の炭化や焼き付けを引き起こすのに十分な高温である601°F が予測されます。 極端なコーニングは二つの問題を引き起こします。
- シール面圧の分布が減少する(開口力となる)は、シール面の荷重が32%増加する。
- シールの接触摩擦は、カーボンシールリングの内径の角で起きる。これは、 局所的に大きな熱流束と600°Fを超える温度上昇の原因となる。

図5は、最適化されたシールが、目標の許容差内となる30マイクロインチにまで 小さくなった コーニングを示しています。 これは、許容できる411°F まで温度を下げます。


最適化した設計では、総荷重が、5.8lbsから4.4lbsに減少していることに注意してください。
上の2つの動画は、バネ荷重を1.5lbsから4lbsまで変えた時の開口高さの最大範囲におけるシールの表面の温度を示します。
シール設計では、有限要素プログラムの流体-構造連性と熱-構造連成の機能を使った正確なシミュレーションは非常に重要です。 ADINAは、このような厳しい構造部品の正確なシュミレーションと信頼における比類なき堅牢さに答えます。
キーワード
シール、メカニカルシール、潤滑シール、カーボンフェースシール、ガスタービ ンエンジン、 コーニング、オイルシール、ベアリングサンプ
*Courtesy of Chuck Alten (c.alten@cox.net) of ABSt, LLC.