マルチローターの挙動のシミュレーション

2013.2.15 Simulation of Multiple Rotor Behavior

回転体の振る舞いは、航空宇宙、自動車関係、オイルとガス産業、その他多数を専門とする技術者にとって興味深いものです。 特にマルチローターをもつシステムに対して、遠心力とコリオリの慣性力が解析に含まれなければならないので、 特にマルチローターによるシステムでは、回転体の振る舞いのシュミレーションは、挑戦的になります。

ADINAでは、静解析の中で、マルチーローターによるシステムに慣性力を与えることができます*。 この機能は、遠心力とコリオリ力を考慮し、マルチローターシステムを 簡単にモデル化することができます。この度のニュースでは、3連円錐形ドリルの 削岩運動中のシュミレーションによる能力を紹介します。

3連円錐形ドリルは、石油採掘でよく使われます。 図1に示すように、ベアリングで組みつけられた3つの回転ビットがついた駆動軸で構成されます。

図1 3連円錐形ドリルの組み付け図

軸とドリル刃は27節点のブリック要素を使ってモデル化されます。 軸受は構造要素を使って詳細にモデル化する必要はありません。 代わりに、アライメント要素を使ってモデル化されます。 図2を参照ください。

図2 軸受をモデル化するためにアライメント要素を使っている

削岩中では、3連円錐形ドリルは岩からの反力、駆動トルクと遠心力およびコリオリ力 の慣性力を受けています。 この解析では、回転部からの慣性力による応答にのみ焦点を当てます。

一番上の動画で示すように、アライメント要素を通した回転を定めることにより、その問題を動的に解析することができます。 しかしながら、この解法は、計算的に高価であり、Bathe法による時間積分を用いなければ、相当な計算誤差が現れるかもしれません。

同様の定常結果をもたらすためのより良い方法は、ADINAの回転負荷機能を使って静的に解析することです。 そうすることにより、問題を解く際に計算コストを大きく減らします。

回転負荷機能は、可動部の回転による慣性力を与え、遠心力、コリオリ力と 遠心力軟化による非線形効果を考慮します。

図3は回転負荷によって発生した変位を示します。

図3 回転負荷の時の変位

このような変位はどの瞬間においても固定フレームから観たものとなります。

コリオリの効果は無視できると言われるかもしれませんが、 この問題ではコリオリの力は重要で、含まれなければなりません。 図4は最大のフォンミーゼス応力が、コリオリの力を含む時、三倊近く大きいことを示します。

図4 3連円錐形ドリルの問題で重要なコリオリの力

ADINAの回転力負荷の機能は強力です。ADINAに用意されているすべてのモデリング機能 を用いて、線形および非線形条件で、解析者が静解析のみで実行できる多数の回転体部品をともなう システムのモデリングを簡単にします。

キーワード

マルチローターシミュレーション、3連円錐形ドリル組み付け部品、回転荷重、慣性力、 遠心力、コリオリ力、遠心力軟化、アライメント要素