剥離条件のモデリング

2012.10.30 Modeling Delamination Conditions



剥離条件のモデリング


積層構造の損傷に共通する問題に剥離があります。剥離条件のモデリングは、 剥離がついには構造の完全状態からの損失となって積層構造自体の強度と剛性の 相当な低下を招くために有限要素によるシュミレーションではとても重要になります。

ADINA V8.9では、このようなシュミレーションのために接着要素を用意します。 接着要素は初期には厚みのない表面と裏面を持っています。それらは、図1に示す ように二つのソリッド要素を接続しています。


(a) 4-node 2D cohesive element



(b) 8-node 3D cohesive element

図1.4節点と8節点の接着要素


接着要素は、図2に示すように、要素座標系においてトラクションτが 相対変位Δに2直線の関係を持ちます。損傷の開始と進展が続く はじめのうちは線形弾性のふるまいを仮定します。損傷のはじまりの後、 接着要素はしばらくは軟化の傾斜面まで荷重を伝達します。損傷が はじまった後、除荷が起きると図2に示すように初期の位置へ線形的に 戻っていくことを常に仮定します。さらに、除荷の後に再負荷をすると 軟化の傾斜面にたどりつくまで同じ線形経路に沿って進んでいくことになります。 軟化の傾斜面にたどり着くと、それ以上の再負荷は、図2の矢印が示すように この傾斜面に従います。

図2.剥離の純粋モードを表す構成則


純粋な剥離モードI、II またはIIIでは、界面に対する垂直またはせん断のトラ クション がそれぞれの張力またはせん断強度に達した後、剛性が序序にゼロに減少してい きます。 もちろん、混合モードの状態も起きます。

図3はモードI とモードIIの相互剥離の特性によく用いる混合モードの曲げ試験 (MMB) の解析を表しています。図3(a)にMMBの試験片の図を示します。 ADINAのシュミレーション結果は解析解と良い一致を見せています。しかしながら、 大たわみの領域では大きな違いがあります。これは、解析解がシュミレーションで 考慮した幾何学的非線形性を扱っていないためです。


(a) Schematic of MMB test


(b) Movie showing the delamination process


(c) Comparison of numerical and analytical results

図3.剥離解析における混合モード


図4は積層構造試験片(図4(a)を参照)の混合モードにおける多重剥離の解析です。 モデルは文献に基づいて作成しています。図4(b)に示すように、数値計算結果は、 多くの接着要素が瞬間的に強度を失う最終段階を除いては、実験データと比較して 良い応答予測を与えています。上の動画は多重剥離の様子を再生しています。



(a) Schematic of multidelamination analysis


(b) Comparison of numerical result and experimental data

図4.混合モードの剥離解析


積層構造解析を考慮するとき、剥離条件のシュミレーションにおいて 接着要素が強力なモデリングツールになります。

Reference

  • Alfano, G., and Crisfield, M. A. , "Finite Element Interface Models for the Delamination Analysis of Laminated Composites: Mechanical and Computational Issues, " International Journal for Numerical Methods in Engineering,  50:1701-1736, 2001


Keywords:
積層構造、損傷、割れ、裂け、剥離、接着要素、有限要素法