ADINAのコンクリートモデリング

2012.3.30 Modeling Concrete in ADINA



ADINAのコンクリートモデリング


コンクリートは非常に重要な材料であり、コンクリートの橋、ダム、ビルディン グなど、 私たちの周りのいたるところにある。ここでは、有限要素解析でコンクリートモ デルを 適切にモデリングできることが重要となる。

しかし、コンクリートは解析でモデル化するにはかなり複雑な材料である。探求 の多大な 努力によってコンクリートのふるまいを理解しようと勤めきた。そして、数値 シュミレーション によるコンクリートモデリングの膨大な論文が投稿されている。非常に小さな応力を 受けると、材料は、線形的に、弾性的にふるまうが、ある限界値を超えると引張 により、 亀裂が現れ、その後、引張軟化とともに圧縮破壊がおき、全ての現象で大きな非線形 特性を示す。例えば、地震荷重下の構造や想定外の条件でコンクリートの複雑な現象 を一般的に非線形解析で表さなければならない。解析の目的においてこのふるまいを 捉えるには、構造の微視的な表現が重要な役割を示すわけであるが、 ラージスケールの解析に、コンクリートのそのようなモデリングは、 今だもって不可能である。したがって、多くの研究では、材料のふるまいを 複雑にできる非線形の応力?ひずみ曲線と破壊面で表現する現象論的な アプローチを採っている。

適切な材料のふるまいを表すモデルに加えて、コンクリート構造を解析するための 有限要素による処理は有効かつ信頼性がなければばらない。計算の応答は 大きな非線形であるから静的および陰的な動計算で用いる反復法は、 有限要素モデルに亀裂が生じているときや破壊中た材料の軟化中で収束して いかなければならない。

様々なコンクリート材料を、さまざまな荷重条件(つまり、静的に、あるいは、 ゆっくりな変化、 または、高速な変化)のもとでモデル化する実用上効果的に、日常的に使うことのできる コンクリート材料はおそらくひとつもない。コンクリート材料の微視的構造は、 複雑すぎである。したがって、そのようなモデルができ、有限要素プログラムが 実用的なラージスケールの解析に有効なモデルが使えるようになるまでは、 計算環境において数多くのコンクリートモデルを提供していくしかない。

ADINAは、強力なコンクリート材料モデルを年月をかけて用意してきており、文献1 の参照をはじめとして数多くの問題に幅広く使われている。しかし、 コンクリート材料はとにもかくにも複雑な材料なので、何か他のモデルが必要に なる。 特に、解析においてコンクリートのふるまいの主要な特性を捉えるだけの単純なモデル でも非常に望まれる。現在、ADINAに加えられているコンクリートモデルは、そのような モデルであり、まさに一つの材料パラメータ?単軸の圧縮強度を入力?を入力すること になっている。

モデルは、文献2と3で述べられた作業に基づいている。モデルの際立った特性が 実験データから与えられている。?

  • 圧縮の材料のふるまいは脆性後のピーク挙動による限界点まで非線形であり、限界 強度まで到達したあとは荷重の負荷能力がすぐに現象しそれが全体の性質となる。

  • 材料はピークの荷重レベルを超えたら連続体として考慮できない。

  • 微細亀裂の過程は、微細亀裂が材料の衰えが起きている間の破壊過程をたどりながら破壊までの コンクリートの圧縮のふるまいを定義する。

  • 破断は3次元破壊面による応力場で捉えられる。

  • 全ての材料定数は円筒試験片における単軸の圧縮強度と参照できる。


試験結果と解析作業の考察では、追加されたADINAのコンクリートモデルは、

  • 図1に示すように、引張と圧縮のふるまいを応力?ひずみ関係に基づいた  実験による非線形

  • コンクリートに亀裂また破壊のいずれかが生じているとき必要となる  実験に基づいた応力の破壊面、図2を参照。

  • 亀裂の開閉を許す亀裂の損傷アプローチに基づく亀裂中の破断後の応答。

に基づいている。

図1 データ当てはめによるコンクリート材料モデルの応力?ひずみのふるまい


図2 データ当てはめによるコンクリート材料モデルの破断面


モデルは、もともと、実験室の試験結果に当てはめたものなので、データ当ては めによる コンクリート材料モデルとしてのもである。(簡単に言えば、DF-コンクリートモ デルという。) モデルは、コンクリート構造解析にならなんでも適用できるわけではないが、非 常に利用が 簡単で有効である。?静的なものや低い周期の動的条件(代表的なものは地震荷 重に見られる。) に限定される。

図3は、A. Carpinteri et. al. [4] によって解析されたコンクリート重力ダム の図である。 図4は、この構造を表した3次元有限要素メッシュである。DF-コンクリートモデルを 用いて計算した荷重?変位応答を図5に示す。

 
          
図 3  A. Carpinteri et. al.のコンクリート重力ダム   図 4  重力ダムのメッシュ


図5 ADINAのDF-コンクリートモデルを用いて計算した亀裂開口変位(CMOD)と Carpinteriの結果および実験結果の比較


図5は文献4にある比較計算である。ADINAのDF-コンクリートモデルは、 実験結果とよく合った亀裂開口変位、CMODを予測している。下の動画は 荷重が増大していく中で亀裂の進展経路を表示している。





上の動画はDF-コンクリートモデルで計算した強化コンクリート梁は崩壊するまでの のクラックの発生を表示している。

時間をかけて用意してきたADINAのコンクリート材料モデルは多くの複雑な コンクリート構造解析に利用されながら、追加されたDF-コンクリートモデルが この興味深く異なる場にもADINAの適用能力を向上させるものとなるであろう。

References

  1. K. J. Bathe, J. Walczak, A. Welch and N. Mistry, "Nonlinear analysis of concrete structures", Computers & Structures, 32(3/4):563-590, 1989.

  2. M. D. Kotsovos and M. N. Pavlovi?, Structural concrete: Finite-element analysis for limit-state design, Thomas Telford, London, 1995.

  3. M. D. Kotsovos and K. V. Spiliopoulos, "Modeling of crack closure for finite-element analysis of structural concrete", Computers & Structures, 69:383?398, 1998.

  4. A. Carpinteri, S. Valente, G. Ferrara and L. Imperato, "Experimental and numerical fracture modeling of a gravity dam", Proceedings of the First International Conference on Fracture Mechanics of Concrete Structures ed. Z. P. Bazant, 351-360, 1992.

Keywords:
免震、球面すべり支承、橋、摩擦接触、レトロフィット、土木工学、 地震工学