流体-構造 連成(FSI)機能

流体-構造の相互作用(FSI)は、構造の変形による流れが発生する時、用いられます。

次に、変形は流れにより境界条件を変えます。
以下のアニメーションは、大動脈弁のFSI解析です。
これは、血圧が大動脈弁の開閉の変形を起します。血液の流れのために、境界条件が順番に切り替わります。

Simulation of Aortic Valve, see ADINA News, Apr. 15, 2003

大きな変形、非弾性、接触、温度依存等による非線形性の強い応答を受ける一般構造物 と 流体が フルカップリングした問題に対しても ADINAは、単一プログラムで 流体-構造連成解析が可能です。 フルカップリングした流体-構造の連成は、流体の応 答によりソリッドの応答が影響を受け、その逆も同様であることを意味しています。

流 体における観点から、 Navie-Stokes流体は非圧縮性、わずかな圧縮性、低速や高速圧縮性で扱えます。
構造における観点からは、全ての利用可能な要素タイプ(すなわち、Shell、2-D、3-Dソリッド、beam、iso-beam、Contact Surface等)が使用でき、同様に全ての利用可能な材料モデルが使用できます。

さらに、流体が音響媒体であるとしたとき、ADINAはとても効率の良いフルカップリングした流体-構造連成機能を提供します。

ADINA FSIはどう機能するか
ADINAは 最先端の単一計算プログラムにおいて、ソリッドと流体の動的なスキームを組み合わせます。流体解析のためにユーザーは節点ベースのFCBI(Flow- Condition-Based Interpolation)スキームとセルベースのFCBI-Cスキームから選択することが出来ます。

FCBI有限 要素スキーム:速度のFCBI法は、安定性を提供します。有限要素方程式はニュートンラプソン反復において整合したヤコビアンマトリクスを計算し組み合わされます。したがって、流体-構造システム全てに整合した剛性マトリクスを確立することが出来、非線形性の強い応答を伴う複雑で実用的な問題を解決することを可能にします。
FCBI-C有限要素スキーム:全ての解の 変数は要素の中心で定義され、速度と圧力間のカップリングは反復的に扱われます。そのため、FSI解析ではソリッドと流体モデル間も反復的に扱われます。 このスキームはとても大規模な実用問題の解析を可能とします。


これらのスキームは低値から高値レイノルズ数の任意のレイノルズ数流れで適切に使用されます。

これまでは解析ドメインの任意の部分が変形すると、流体のオイラーの記述はもう適切ではありません。そのためにADINAはArbitrary- Lagrangian-Eulerian (ALE)定式化を使用して流体の支配方程式を解析します。

ADINA FSIはユニークです。それは流体と構造間のカップリングを解析するためにDIRECT FSI COUPLINGITERATIVE FSI COUPLINGの二つの方法を提供しているため です。両方のケースにおいて構造-流体表面に沿った変位の適合とトラクションの釣り合いを満足させます:

変位の適合       df = ds
トラクションの釣り合い         ff = fs 
ここでのdfは変位とトラクションです、そして添え字のfとsはそれぞれ流体とソリッドを 表わします。上図に示す流れによって励起された片持ち梁の振動応答のような過渡的な解析では、2次の時間積分スキームが使用できます。

DIRECT FSI COUPLING (一体型解法FSI)
強連成FSI解法においては、流体とソリッドの方程式は一つのシステム(一つの剛性マトリクス)として扱われ、線形化とニュートンラプソン法のような反復アルゴリズムを用いた解析が行なわれます。一体型解法の連成FSIアルゴリズムは非常に難しいFSI問題、例えば'柔らかい'構造物が大変形する解析や、高圧縮性流体が非常に硬い構造物と連成するような解析をするときに優れた堅牢性を提供します。これらの問題のタイプは分離型解法の連成FSIを使用し て解析するのは困難です。

ITERATIVE FSI COUPLING (分離型解法 FSI)
流体とソリッドの方程式は、個別に解析されます。それは連続的にカップリングされたシステムの一方により提供された、最終の情報を常に使用します。分離型解法の連成FSI解法は一体型解法の連成FSI法よりも要求されるメモリーが少なく、それゆえに非常に大規模な問題を解析するために有効です。

ADINAによって提供された一体型解法の連成と分離型解法の連成FSI、このユニークな二つの方法の提供は、最も効率的な方法で広範囲の問題をうまく解決するのに不可欠です。

一体型解法の連成、分離型解法の連成FSI例


ADINA流体-構造連成のいくつかの機能

1. FCBIスキームは優れた安定性を提供し、それは非常に高い、あるいは低いレイノルズ数問題の両方に適用できます。

 

流体解析のための新しいFCBI要素

 

2. FSI解析は全ての流れのタイプ、すなわち非圧縮性、わずかな圧縮性低速圧縮性、高速圧縮性流れにおいて使用できます。さらに非ニュートン流体、乱流モデ ル、VOF法を含んだ全ての流体材料モデルがFSI解析で使用可能です。

 

VOFを使用したコンテナのFSI解析

破断するパイプのFSI解析

 

3. ポテンシャルベースの流体要素は音の流れを伴うFSI解析で効率的に利用可能です。ポテンシャルベースの流体要素も音の流れと連成する構造の周波数解析を 実行するのに使用されるかもしれません。

 

ポテンシャルベース流体を用 いた貯蔵タンクの解析

非 粘性流体と連成する構造の周波数解析

 

4. ADINAは流体とソリッドモデルにおける任意のメッシュの使用を許可します。その上、流体とソリッドのメッシュは流体-構造の境界で完全に一致する必要 はありません。

 

FSI境界で任意の一致しない流体とソリッドメッシュを使用し たパッチテスト

 

5. 熱とポーラスカップリングが流体と構造モデル間において利用できます。

 

シェル要素を含む熱の流 体ー構造相互作用(FSI)解析

 

6. 全ての構造要素、接触機能、ソリッド材料モデル(すなわち、弾性、粘弾性、ゴム、塑性等)がFSI解析で利用可能です。

 

7. ギャップ境界条件は流体モデルで表現することが出来ます。ギャップ境界条件は、ADINAの接触機能と組み合わされて自動車や医療で利用されているバルブ の開閉のモデル化に効率的に使われるでしょう。


大動脈弁のシミュレーション

 

8. スライディングメッシュ機能を伴うFSI解析が利用可能です。スライディングメッシュとFSI機能の組み合わせは、回転機器やターボ機器の解析に特に有効 です。

 

スライディングメッシュを使用したタービンのFSI解析

 

9. 効率的なオプションは自動的な片方向連成のFSI解析かもしれません。この解析タイプはソリッドの変形が小さく、流体応答上でのソリッドの影響が無視でき る場合にとても有効です。したがって、流体とソリッドモデル間の反復はまったく必要ありません。

 

         片 方向連成の流体-構造連成

 

10.FSI解析機能の一般性と解析精度を増加させるために、 ADINA8.6がCFDにアダプティブ&再メッシュを提供し、適切なメッシュ作成が使用されています。
このアダプティブメッシュの技法は、流体領域中の適切な要素寸法のために流れの様々な領域にCFD解決策勾配を作動させて、メッシュが精製して、粗雑であることを伴います。

 

FSIのアダプティブメッシュ


産業におけるADINA FSIの適用

・ 自動車システム
・生体医学適用
・原子力、パイプシステム
・コンプレッサー、ポンプとパイプシステム
・マイクロ電子技術システム(MEMS)


ADINA FSIが上の分野で使用されているいくつかの例を見る場合はここをクリックしてください。

ADINA CFDを使用した記事

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