ADINA開発の重要な課題は、コードの適切な検
証とベンチマークです。ここで、ADINAの結果が、解析解や既存の計算データ、実験値と一致すること、収束検討などが求められます。
フレキシブルな構造とナビエ-ストークス流体を含
む、FSI解析コードの検証とベンチマークは、相対的な既存の解析解が比較的少ないので、特に難しい問題です。
今回は、典型的なベンチマーク問題と解析結果を紹介します。この問題はリファレンス[1]で発表されています。もちろん、材料データは実際に使われる大凡
現実的な物性値を選択しています。

解析された問題

適合しないメッシュを使用します。(ゴムパイプに27節点3D要素、
流体に8節点3D flow-condition-based-interpolation (FCBI)要素を使ってモデル化)
構造との相互作用によって、流体の領域が大きく変
わってしまったときに、FSI解析で流体の質量保存が満たされているかをテストすることが、この解析の目的です。非圧縮性の流体は、ゴムパイプを通って流
れます。ゴムパイプは、流体の圧力結果によって膨張します。上の図は問題の概要と解析に使われたメッシュです。
流体量の増加に伴うパイプの変形は、上のムービー
で示しています。パイプのもっとも大きな伸びは約1.7です。(繊維のもとの単位長さから1.7の長さまで伸びたということです)
流体は3D8節点FCBI要素でモデル化されてい
ます。このCFD要素は有限要素/
有限体積法の混合に基づきます。これによって流れ依存の補間関数を用いて、安定性を得、いかなるメッシュにおいても局所的な質量、運動量保存を満た
します。リファレンス[2]、[3] を参照ください。
以下の表では、FSI解析で質量保存が満たされて
いることを示しています。
t |
Re |
流量率
(kg/s) |
z = 0 m |
z = 0.5 m |
z = 1 m |
0.4 |
31.2 |
2.45199 |
2.45198 |
2.45198 |
1.0 |
121.1 |
9.51151 |
9.51151 |
9.51151 |
1.6 |
361.7 |
28.4088 |
28.4088 |
28.4088 |
軸に沿った3つの異なる断面の流量率。
レイノルズ数は流入口の平均速度、Z=0m、チャネルの直径、D=0.1mで定義しました。
追加のベンチマーク解析は以下のリファレンス
[1]にあります。
References
- K. J. Bathe and
G.A.
Ledezma, Benchmark problems for incompressible fluid flows with
structural interactions, Computers & Structures, 85,
628-644, 2007.
- K. J. Bathe and H.
Zhang, A Flow-Condition-Based Interpolation Finite Element Procedure
for Incompressible Fluid Flows, Computers & Structures, 80,
1267-1277, 2002.
- H. Kohno and K. J.
Bathe, A Flow-Condition-Based Interpolation Finite Element Procedure
for Triangular Grids, Int. J. Num. Meth. in Fluids, 49,
849-875, 2005.
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