今回は、
自動車のディスクブレーキの3Dの過渡的動解析の例を紹介します。
モデルは摩擦を考慮した接触、大変形、熱-構造の強連成が含まれます。
熱-構造の連成が必要となるのは、ローターとパッドが接触したときにだけ起こる
伝導性熱伝達があるためです。
摩擦によって、熱が生成し、不均一な熱膨張によって応力が生じます。
ブレーキの
ジオメトリを下の図1に示します。
このシミュレーションでは、穴やスリットを無視して、より簡略化された
ブレーキディスク/ローターモデルを使用しています。
図1. ブレーキの概要図
多くの
ブレーキの解析とは違い、このモデルではローターの減速は定義されていません。
その代わりに、ローターには自動車の速度200km/hに相当する初期角速度が与えられています。
さらに、自動車の慣性分を考慮するため、ローターの中心に集中マスが定義されています。
ブレーキパッドに強いブレーキ力がかかり、数値シミュレーションに
よってローターの減速が計算されます。
シミュレーション中の
温度分布は上のアニメーションに示しています。
時間刻みは一定ではありません。
初めは、ディスクに大きな角速度がかけられているため、ステップはとても小さくとっています。
ディスクの回転速度が落ちるにつれ、ステップはだんだん大きくなり、
ローターの回転が止まってからは、かなり大きなステップがとられ、
ブレーキの冷却までがシミュレーションされています。
この解析では、
接触摩擦や熱-構造の連成などを含む多くの複雑な問題をADINAで解くことができることを
示しています。
キー
ワード :
ディスクブレーキ、熱‐構造連成解析、摩擦、接触、ブレーキシミュレーション、過渡的動解析
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