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                                概要 
                              異なるゴム材料モデルを使用して、
上に示すゴムの部品の解析を行いました。
ゴム材料の安定性の指標が負になるとき、解析は収束しません。
ADINA8.5(1) の新しい安定性をプロットする機能を使用することで、ゴム材料モデルの安定特性を視覚化できます。  
                               ゴム材料モデル 
                              図1、図2には、
今回使用するゴム材料の1軸引張り、2軸引張り試験のユーザーデータを示しています。
グラフには、工学応力‐伸長比がプロットされています。
これは一般的にゴム状材料のデータを表現するのに使われるものです。
グラフには、9次のMooney-RivlinとSussman-Bathe材料モデルのフィッティングレスポンスが示されています。
入力データに対し、2つの材料はともに良好なフィッティングカーブが得られています。 
                              図3では、真応力と対数ひずみを使用して、1軸の
引張り/圧縮の同じデータを表しています。
引張り、圧縮ともにカバーされていることに注意してください。 
                                
                               
                              図1. 工学応力‐伸長比、1軸引張り 
                               
                                
                               
                              図2. 工学応力‐伸長比、2軸引張り 
                               
                               
                                
                               
                              図3. 真応力‐対数ひずみ 
これらのカーブは、従来通り図1、図2に示している1軸引張りと2軸引張りの 
カーブから得られたものです。 
                               
                               
                               
                               ゴム部品の解析 
                              これらの材料モデルを用いて、
上に示すようなゴム部品の解析を行いました。
ゴムは強制変位で引張られます。図4をご覧下さい。 
                                 
                               
                              図4. ゴム部品、元の形状と変形後の形状  
                               
                               
                              図5が示すのは、
それぞれの材料モデルから得られた力‐たわみのグラフです。
9次のMoony-Rivlin材料モデルが使われているとき、与えられた強制変位が1.4以上の時には解が得られません。
しかし、Sussman-Bathe材料モデルを使用したとき、さらに大きな変位を与えても解を得られます。  
                               
                                
                               
                              図5. 力‐たわみのグラフ 
                               
                               
                               安定性のプロット 
                              安定性をプロットする新しい機能によって、
ゴム材料の収束挙動を見ることができます。
今回使用した材料モデルの安定性のプロットは、図6、7に示しています。 
                               
                                
                               
                              図6. 安定カーブ Sussman-Batheモデル 
(Material 1 とは、一つの材料だけが使われているということです) 
                               
                                
                               
                              図7. 安定カーブ  Mooney-Rivlinモデル 
                               
                               
                              安定性のプロットは次のような考えに基づいていま
す。
1軸の引張りを受ける、一様なゴムのシートを考えます。それぞれのひずみレベルで、増分剛性マトリックス
(変位の振幅による力の振幅に相当します)が決定されます。増分
剛性マトリックスの固有値が計算され、その最も小さな固有値が安定性の指標として扱われます。
この指標が0より大きい時、材料は安定し(与えられた力の振幅に関して)、そうでなければ不安定になります。
せん断試験、2軸引張り試験についても同じ方法をとります。 
                              安定性のプロットには、Sussman-
Batheモデルが変形の3つのモードで安定していますが
9次のMooney-Riblinモデルは2軸引張りの真ひずみが0.4以上で不安定になっていることが示されています。
このゴム部品は2軸引張りなので、9次のMooney-Rivlinモデルを使用した解析が、
Sussman-Batheモデルよりも小さな荷重/変位で失敗してしまうのも当然です。 
                               
                               追加情報 
                              応力ひずみの実験データから安定した材料が得られ
た場合、材料モデルも安定するのが、望ましいです。
今回の場合には、9次のMooney-Rivlin材料モデルは明らかにこの特性を持っていません。 
                              Mooney-Rivlinモデルで、安定性の指
標を正の値にするために、
異なる材料定数を選択することができます。しかし、それでは入力データにあまりフィットしません。 
                               
                               キー
ワード 
材料モデル、ADINA、安定性、Mooney-Rivlin、Sussman-Bathe 
                               
                               
                              リファレンス
                              
                                - T. Sussman & K.J. Bathe, "A
model of incompressible isotropic
hyperelastic material behavior using spline interpolations of
tension-compression test data", Commun. Num. Meth. Engng
(2008), in press 
 
                               
                               
                              
                               (1)
ADINA version 8.5.2以上  
                               
                               
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