◆ Assessing the
Numerical Error in the Finite Element Solution
有
限要素解析における数値誤差の評価
どんな有限要素解析でも、最重要なステップは、解析のための適切な数
学的モデルの明確な選択です。このモデルは、ジオメトリ、荷重、境界条件、材料データといった全ての重要な構成要素を含まなくてはなりません。数学的モデ
ルは信用に足り、かつ効果的(参照 K. J. Bathe, Chapter 1 of Finite Element Procedures,
1996)でなくてはならず、また解析者によって定義されたメッシュで有限要素プログラムで解析されます。
数学的モデルの有限要素解析は、いくつかの数値誤差(解析者にとって十分に小さくあって欲しいものです)を含むでしょう。これは、もちろんとても細かい
メッシュが、適切な有限要素(ADINAで利用できるような)で使
われていたとしても起こり得ます。しかし実際には、メッシュがそれほど細かくない時
に"厳密な"解と有限要素法により得られた解析結果との数値誤差を評価することがとても重要となるでしょう。厳密な解はわからないので、厳密な解を挟み
こんでいると証明された上限と下限(コンピューターで計算され得る)がとても役に立つでしょう。残念ながら、これらの範囲は一般的
な解析だけではなく、学問研究においてすらまだ使えません。よって、一般的な解析では、現在、このような範囲を使わずに概算値に基づいた誤差評価を行って
います。
誤差評価は重要な問題であり、素晴らしい研究課題と
なっているため、技術者や数学者が誤差評価の発展に焦点を当てていることで、とても大きな研究成果が得られています。現在の誤差評価の状態が調査されてい
ます。例えば、参照[1]では、ADINAで使える誤差の指標について触れています。これらは1985年に発表されている研究(参照[2]、[3])に基
づいており、これはまだ一般的かつ実用的な解析で最も効果的に使えると信じられています。
以下の図は、左の端点が固定された片持ち梁構造の研究で線形、非線
形、FSIそれぞれ解析で得られた結果です。ここで特に興味深いのは、片持ち梁の中央にある長円形の穴周囲の応力解です。線形解析では、構造は単に均一な
圧力P を受けています。非線形解析では、この圧力は6P
まで上がり、塑性大変形を引き起こします。最後に完全連成のFSI解析で
は、構造物周りのナビエス
トークス流体の定常状態の力の効果(約2P の大きさの)は、6P の
圧力への追加分であると考えられます。
それぞれのケースで、粗いメッシュでのADINA解析結果と、粗い
メッシュと"厳密な"誤差を使った、長手方向(曲げ)応力についてのADINAでの誤差評価を示しています。厳密な誤差とは、粗いメッシュでの解析と非常
に細かいメッシュでの解析(実際には、もちろん計算されないでしょう)との比較によって得られます。ADINAの誤差評価は、これらのケースでとても慎重
で、厳密な誤差から遠くはないように思われます。
私たちは、明白な2D問題で誤差評価を示しましたが、ADINAで
は、接触条件やFSIを含む3Dソリッドとシェルの応力、熱解析にももちろん同様の手順が適用でき、よって多くの実用的解析にも使えます。しかし、注意が
必要です。全ての現存する実用的な誤差評価の技術において、誤差評価が常に正しく、また慎重な予想であるとは証明されていないということです。よって誤差
の処理は、主として、メッシュが十分に細かいかどうか、このような精密化が集中するであろう箇所で精密化が必要かを検証するのに有用です。

Figure 1:境界条件を持った片持ち梁の最初の粗いメッシュ

Figure
2(a):片持ち梁−線形解析
重要な領域で概算された誤差の表示

Figure 2(b): 片持ち梁−線形解析
重要な領域での厳密な誤差の表示

Figure 3(a): 片持ち梁−非線形解析
重要な領域での概算された誤差の表示

Figure 3(b): 片持ち梁−非線形解析
重要な領域での厳密な誤差の表示

Figure 4(a): 片持ち梁−FSI解析
重要な領域での概算された誤差の表示

Figure 4(b):
片持ち梁−FSI解析
重要な領域での厳密な誤差の表示
References
-
T. Grätsch and K. J. Bathe, “A
posteriori Error Estimation Techniques in Practical Finite Element
Analysis”, Computers & Structures, Vol. 83, pp. 235-265,
2005.
-
T. Sussman and K. J. Bathe, “Studies of
Finite Element Procedures ― On Mesh Selection”, Computers &
Structures, Vol. 21, pp. 257-264, 1985.
-
T. Sussman
and K. J. Bathe, “Studies of
Finite Element Procedures ― Stress Band Plots and the Evaluation of
Finite Element Meshes”, Engineering Computations, Vol. 3, pp.
178-191, 1986.
|
|
|