歯車の振動解析・信頼性評価(SimulationX ADINA MOR)

自動車のトランスミッションや減速機で利用される歯車は、インボリュートによりトルク伝達はスムーズですが、歯の接触により正常な状態でも振動や騒音が発生します。振動の原因はいくつかありますが、歯のたわみやかみあい数の変化により剛性の変化が結果として振動につながります。今なおNVHの課題として広く解析されていますが、問題解決の決め手を欠く状況が続いてきました。

歯車振動解析アプローチでFEMを利用した場合、形状を充分に表現することができ、歯車ケースの振動まで予測可能ですが、現象的には動的接触を伴うため時間積分が必要です。高速で回る歯車解析においては、現実的な時間では解が得られないのが現状です。

他方、近年普及してきてきた1DCAE(SimulationX)のアプローチでは、歯車専用のエレメントが用意され、モジュールや歯数、かみあい剛性など、歯車諸元を入力するだけで短時間に歯車の挙動をシミュレートすることが可能です。FEMでは現実的でなかった歯のたわみやかみあい数の変化に起因した振動を解析できます。ただ、1DCAEでは歯車ケースの3次元的な応答までは期待できません。

そこで当社はFEMと1DCAEの長所を結びつけ、歯車の振動解析を現実的に可能とする為のMOR (モデルオーダーリダクションシステム)を開発しました。これにより、非常に短時間での歯車振動のシミュレーションが実現します。

かみあい剛性

かみあい剛性はFEMより接触解析を行うことで求めることが出来ます。精度のよいかみあい剛性を計算するには、精度のよい接触解析が必要となります。ADINAでは精度のよい接触解析が短時間で実行でき、このかみあい剛性をSimulationXにインプットし、歯車同士の伝達力として動解析の中で利用できます。

MOR モデルオーダーリダクションシステム

MORは動的な有限要素モデルを低次元化し、計算時間を高速化する最新の手法を採用しています。MORはNastranやADINAから出力した剛性マトリクスを縮退します。縮退と同時に、SimulationX用のデータに変換します。

1D と FEM との 連携

上記のステップで1D と FEM との連携が可能となり、歯車ケースの振動を予測することができます。これにより歯車同士のかみあい剛性を考慮しながら、ダイナミックな歯車とケースの連動した振動を解析できます。