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Instability of Two-Term Mooney-Rivlin Model
2項Mooney-Rivlinモデルの不安定性

ゴム 材料モデルは、大変形の非線形応答シミュレーションに、広く技術的な手法として使われています。 その中でよく知られているモデルの1つに、Mooney-Rivlinモデルがあります。これは、その他のゴム材料モデルとともにADINA Theory and Modeling Guide[1]で説明されています。

今回の ニュースでは、ゴム材料の不安定性、つまりあるひずみレベルまで達した時の材料の応答が不安定な挙動に 注目したいと思います。構造のシミュレーションにおいて、不安定なひずみレベルまで到達したとき、 ニュートンラプソン法の非線形反復計算は収束が困難です。あるいは、反復計算が困難でなかったとしても、求められた応答は物理的に非現実的かもしれませ ん。




(a) 材料 1: neo-Hookean モデル

図1.一軸、二軸引っ張りプロット

微小 ひずみの領域でのヤング率がE=1.0 の 3つの非圧縮材料を用いて説明します。 3つの材料はneo-Hookean、2項の Mooney-Rivlin、Ogdenモデルで表しています。 大変形の応答は材料特性に次のような定数で表しています。

Neo-Hookean material model:
C1 = 1/6

Mooney-Rivlin material model:
C1 = 1/8,C2 = 1/24

Ogden material model:
μ1 = 0.497, α1 =1.3; μ2 = 0.001, α2 = 5.0; μ3=-0.0079, α3 = -2.0.

これらの材料定数は、Ref. [2]方程式7.2.31から得られたものです。 μ1、μ2、μ3は、微小ひずみのヤング率E=1.0より概算しました。




これらの 定数を使用した3つの材料モデルの一軸、二軸引っ張りプロットを図1.に示します。 これらのカーブは、すべてのひずみレンジに渡って、正の傾きを持っています。 不安定ではないように見えるため、これらの材料定数を使用して、複雑な非線形の2D、3Dのシミュレーションも行うこともあるでしょう。



(b) 材料2: Moony-Rivlinモデル



(c) 材料3: Ogdenモデル

図1. (続 き)



しかし、 ADINAのオプションである安定性インジケーターを使ってよく見てみると、図2.にあるように、 neo-Hookean と Ogden 材料は安定していますが、 Mooney-Rivlin材料は、二軸引っ張りでひずみが0.6を越えると不安定であることがわかります (安定指数<0.0)



(a) 材料1: neo-Hookean モデル



(b) 材料2: Mooney-Rivlin モデル

(c) 材料3: Ogden モデル


図2.安定性インジケーター



次の 2つの解析を行います。Moony-Rivlinモデルでは、まず不安定さが引き出され、 続けて、物理的に非現実的な応答が得られます。


二軸引っ張りの平面応力シート

材料2 のゴムシートはMoony-Rivlin材料の平面応力要素1要素でモデル化されています。 2つの独立した力がかけられています。 まずシートを伸ばす力(グラフのPointA)に等しい力をかけます。 続いて水平方向の力も加えます。このとき垂直方向の力も維持しておきます。 下の動画、および図で表されているように、水平方向の変位は、外力の増加とともに減少します。 これは明らかに物理的に非現実的な挙動です。


Moony-Rivlinモデ ルを使用した結果


次の 動画は同じ数値実験ですが、今度は材料3のOgdenモデルを使用しています。(上の定数を使用しています) 水平方向の変位は、荷重の増加とともに大きくなります。 これは現実的です。


Ogdenモデルを使用した結 果



軸力と内部圧力のかか る円筒

材料2の シリンダーは、Moony-Rivlinモデルの27/4 3D要素でモデル化されています。 また軸方向の荷重によって伸張し、変位依存の内部圧力によって広がります。 最初は、内部圧力の増加に対して、連続した現実的な応答を示します。しかし内部圧力が臨界値を越えると、突然その応答は非現実的になります。 このページの最初の動画に示しています。


概説

Neo- Hookean材料モデル(1定数のみ)は常に安定しています。

Moony- Rivlin材料モデルでは、不安定さが現れるひずみレベルは、C2/C1比に依存します。 C2/C1比が小さくなった場合、不安定になる二軸ひずみは大きくなりますが、 このひずみレベルまで達したあとは材料は常に不安定です。

Ogden 材料モデルは、上の材料定数を使用した場合には安定していますが、 違う材料定数を使ったときに、不安定になる場合もあります。

よって、 リファレンス[3]で紹介されている材料モデルも含めて、どんなゴム材料モデルを使用しているときでも、 非線形解析を行う前に、ADINAの安定性インジケーターを確認することは大切です。


キー ワード :
Rubber material model, Mooney-Rivlin, Ogden, neo-Hookean, hyperelastic, material instability ゴム材料モデル、Moony-Rivlin、Ogden、neo-Hookean、超弾性、材料不安定


References

  1. ADINA Theory and Modeling Guide, Report ARD 08-7.
  2. R. W. Ogden, Non-linear elastic deformations, Ellis Horwood Limited, 1984.
  3. T. Sussman and K.J. Bathe, “A model of incompressible hyperelastic material behavior using spline interpolations of tension-compression test data”, Communications in Numerical Methods in Engineering, 25, 53-63, 2009.

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