新しいADINAスパースソルバーに関する顧客体験

2019.04.17 Customer Experiences with the New ADINA Sparse Solver

新しいADINAスパースソルバーに関する顧客体験

1年前のADINAバージョン9.4(ADINA 9.4)の発売時に、ADINA 9.4でリリースされた新しいADINAスパースソルバーが精度を損なうことなくかなりのスピードアップを達成することが発表されました。 この速度の向上は、大規模で忠実度の高いシミュレーションを頻繁に実行する必要がある業界、特に自動車、航空宇宙、防衛、産業用機器、重機、消費者用、および消費者用製品の各業界に大きな価値があります。

過去1年間、お客様から新しいADINAスパースソルバーの生産性が大幅に向上し、同時に高いレベルの精度を維持しているため、大きな利点が得られていることがわかりました。

このショーケースでは、バージョン9.4でリリースされた新しいADINAスパースソルバーのパフォーマンスの例をいくつか示します。 代表的なテストモデルと実際の顧客モデルを示します。モデルはADINA 9.3とADINA 9.5を使用して解かれ、そして解決時間とメモリ使用量を比較しています。

「モデル4」以外のすべてのモデルは、16コアおよびSMP(DMPなし)を搭載したIntel Xeon E5-2667 v4ワークステーションで解析しました。 「モデル4」は、16コアおよびSMP(DMPなし)を搭載したIntel Xeon CPU E5-2687Wワークステーションで解析しました。

Models

モデル1-線形静解析
・8節点六面体3Dソリッド要素を使用したメッシュ。
・上面に圧力がかかる。 底面のすべての自由度(DOF)を拘束します。
・線形静解析、1ステップ
・自由度の総数= 1,952,802

図1:モデル1-3Dブロックの線形静解析の有限要素メッシュ

モデル2- 非線形接触解析
・接触している2つの3Dブロックは、8節点3Dソリッド要素を使用してメッシュしてます。
・上側ブロック上面に圧力がかかります。下側ブロックの底面を完全拘束します。
・非線形接触解析、1回ステップ
・自由度の総数= 2,850,246

図2 モデル2-3Dブロックの非線形接触解析のための有限要素メッシュ

モデル3- 非線形接触解析
・8節点3Dソリッド要素を用いたリングベアリングモデル。
・非線形接触解析、5回ステップ
・自由度の総数= 3,119,969

図3aモデル- リングベアリングの非線形接触解析の有限要素メッシュ
図3bモデル- 相当応力結果のアニメーション

モデル4-6気筒エンジンブロックの固有値解析
・10節点4面体の3Dソリッド要素とメッシュ。
・スパースソルバーの改良に加えて、9.3ではStandard Subspace Iteration法と比較して、Enriched Subspace Iteration法が9.5で使用されています。 200個の固有値とモードシェープが計算されます。
・自由度の総数= 9,494,250

図4a モデル4- 6気筒エンジンブロックの接触を伴う固有値解析のための有限要素メッシュ
図4b モデル4- モードシェープ1のアニメーション

モデル5 - FSI解析
・油圧エンジンマウント。技術概要をご覧ください。
・ダイレクトカップリング FSI、21タイムステップ。 流体モデル:8節点要素、ソリッドモデル:20節点要素
・自由度の総数=852,672

図5a モデル5 - 油圧エンジンマウントのFSI解析の流体有限要素メッシュ
図5b モデル5 - 相当応力と流速ベクトルによる変形のアニメーション

解析時間とメモリ使用量の結果

解析の高速化は次のように定義されています。

メモリの使用量の削減は次のように定義されます。

表1は、ADINA 9.3とADINA 9.5のトータルソリューションタイムを比較したものです。

表1 ADINA 9.3とADINA 9.5のトータルソリューションタイム

表2では、ADINA 9.3とADINA 9.5のメモリ使用量を比較しています。

表2 ADINA 9.3およびADINA 9.5のメモリ使用量

表1と表2は、バージョン9.4でリリースされた新しいADINAスパースソルバーが、線形、非線形、接触、周波数、FSI解析を含む幅広いアプリケーションで大幅なスピードアップとメモリ使用量の削減を達成することを示しています。

このショーケースで検討しているモデルの場合、新しいADINAスパースソルバーはADINA 9.3のスパースソルバーよりも3倍から7倍高速です。

SMP並列処理パフォーマンスの結果

SMPパフォーマンス率は次のように定義されます。

表3はモデル1に対するADINA 9.5のSMPパフォーマンス率をまとめたものです。

表3モデル1に対するADINA 9.5のSMPパフォーマンス率

この表は、バージョン9.4でリリースされたADINAスパースソルバーがコアの数が増えるにつれて優れたSMP スケーラビリティを達成することを示しています。

結論

バージョン9.4でリリースされた新しいADINAスパースソルバーは明らかにADINAシステムを大幅に強化し、幅広い分析問題に対して高レベルの精度を維持しながら、顧客が生産性を向上させることができます。

キーワード

スパースソルバー、固有値解析、接触解析、効率、改善、生産性