ネジ部品結合の精密なモデル化

2014.5.30 Accurate Modeling of Threaded Fastener Joints

ネジ部品結合の精密なモデル化

ネジ部品結合は、ボルト結合やネジ継手などが、産業界において幅広く使われています。これらの結合において、正確なボルトの軸力が重要です。結合が適正なバランスとボルト剛性で設計されているとき、正しい軸力はボルトの負荷変動幅を減少させ、それにより疲労寿命が増加します。さらに、正しい軸力は、漏れやフレッティング疲労になる恐れのある、分離や固定部品間の相対運動がそれぞれ無いことを保証します。

困難の1つは、規定トルクにより、ボルトが締められることです。 部品がフラットであれば、トルク/軸力の応答は線形であり、厳密的なボルト方程式が適用できます。 しかしながら、部品が曲がっていたり、ゆがんでいた場合(溶接後のケースが多いです。)トルク/軸力の応答は非線形であり、この応答を求める厳密的な方程式はありません。ねじ部品結合のもう一つの重要な問題は、緩みです。

本文では、日立建機㈱様がADINAを使い、トルク/軸力の応答と、ボルト結合の緩み特性を究明する事例を紹介します。

1つ目の解析では、トルク/軸力の応答は図1のようなM12のボルト結合で計算します。摩擦接触は全接触面間で摩擦係数=0.15として考慮されます。強制回転荷重がボルトヘッドに負荷され、それにより軸力が発生します。

図1:M12ボルト結合問題の概略図

図2はナットとボルトに使用したメッシュを示します。ねじ山には離散化エラーを最小化するため、品質の良いメッシュが要求されます。ADINAのGLUE機能が品質の良い細かいメッシュと粗いメッシュを結合するのに使われています。

図2:ボルトとナットに使われたメッシュ

図3はフラットプレート問題における、トルク/軸力応答を示します。 ADINAの結果は、厳密解と密接に相関します。解析結果の階段状の挙動は、ボルトの回転により、ねじ山メッシュの離散化エラーを乗り越えるに必要な接触力によるものです。品質の良い細かいメッシュは、結果で見られる階段状の挙動をより小さくします。

図1ではフラットプレートのトルク/軸力問題が、ボルトモデルでの検証に使われました。 検証ごとに、ADINAはゆがんだ組み立て部品のボルトのトルク/軸力の応答を決めるため、TMC解析を使うことが可能です。

図3:2枚のフラットプレート間のM12ボルトのトルク/軸力応答

2つ目の解析では、ADINAがボルト結合の緩み特性の決定に使われています。このモデルでは、ボルトは最初の軸力と、その後の横方向強制変位のサイン波が上側プレートに負荷され、下側プレートは拘束されます。

図4は、横方向変位の4サイクルのボルト回転を示します。横方向荷重による周期的曲げモーメントが緩みの原因であることが判りました。解析結果から得られたことから洞察し、エンジニアは設計の中で大幅に緩みを減らすことができました。

図4:横方向変位の4サイクルのボルト回転

本文において、ADINAが工学設計におけるパワフルなツールとして利用いただけることがわかります。 強力な接触機能と信頼性のある要素定式化は、ADINAが産業界において最も難解な問題を解くための推奨プログラムとさせます。

キーワード

ねじ部品結合、ボルト締結、ボルト、軸力、トルク、緩み、接触、摩擦、GLUEメッシュ

ご提供:日立建機株式会社、星様