地震に対する理解のために

2013.6.30 Towards Understanding Earthquakes

地震が起きる解析は、地震がなぜ、どうのようにして発生するのかを理解するのに 役立ちます。おそらく、いつ、どこで新しい地震が起きるのかを予測するのにも 役立つかもしれません。中国の研究グループによって中国で起きた最近のいくつかの 地震をADINAを用いて検証したものを紹介します。

この検証は上の地図で示す中国南西部に着目しました。この地域は、非常に地震 が起きることで知られ、いくつかの大陸プレートで構成されています。 図1は、プレートと断層を示しています。

図1 中国西南部における構造プレートと断層

検証の目的は、断層の応力による地震の影響を確立することでした。 図2は、検証におけるシミュレーション手順のフローチャートです。

図1 シュミレーション手順のフローチャート

研究者たちは、まずGIDと呼んでいる地質プリポストプロセッサ(図3参照)を使って プレートと断層を配置しました。次に、彼らは、3Dモデルを作成し、地質調査 データに基づいて材料特性を割り当てました。

図4は、この地域の地形を示しています。図5は、モホロビッチ不連続面(モホロ ビッチ不連続面とは地殻とマントルの境界面のこと。)の深さの変化を表しています。 図6に示すているのは、垂直方向に3次元モデルの部分断面図です。 垂直方向に層があることに注意してください。層の厚さは、0.5キロから100キロ まで変化しています。図7は、与えた荷重、境界条件、初期条件などを さらに前処理のためにADINAにインポートされる3Dモデルを示しています。

図3 構造プレートと断層の2次元マッピング;プレートは異なる色で表示
図4 調査地域の地形を表した起伏マップ
図5 調査地域のモホロビッチ不連続面
図6 垂直方向の3次元モデルの部分断面;層が異なる材料特性を持っている。
図7 地域の3Dモデル;異なる色は、異なる材料を示す。

荷重、初期条件、境界条件は一般的に許容できる仮定とGPS計測データに基づいて行い、 ADINAユーザインタフェースを介して適用しました。図8は、この地域の速度場のGPSデータ を与えています。図9は、最後のADINA有限要素モデルです。

図8 調査地域の速度場のためのGPSデータ。
図9 ADINA有限要素モデル

このモデルに基づいて、研究者たちは、この区域の最近20年のリヒタースケールで ML≧7の地震を調査しました。図10を参照してください。

図10 1996年以来のこの地域で起きたML≧7のMと地震

特に、彼らは最後の十年間に起きた三大地震、2001年の崑崙山脈地震(ML = 8.1)、 2008年の四川大地震(M L = 8.0)、2010年の玉樹地震(M L = 7.1)を調査しました。 シミュレーション結果は、図11および12に示しています。 これらのバンドプロットは、社内のポストプロセッサを用いてADINA結果に基づいて 作成されました。

図11 崑崙山脈地震(2001年)から、クーロン破壊応力の増加バンドプロット。
Wenchuan断層におけるクーロン破壊応力は、この地震によって0.001〜0.002 MPaで増加している。
このような増加は、2008年の四川大地震の要因であると考えらる。
図12 Wenchuan大地震(2008年)から、クーロン破壊応力の増加バンドプロット。
玉樹断層におけるクーロン破壊応力は、この地震によって0.001〜0.002MPaで増加している。
このような増加は、2010年玉樹地震の要因であると考えられる。

これは、以前の地震が誘導して、その後の地震が起きる地域のストレスを増大させていること がわかり非常に興味深いです。応力変化に関するこの知見は、おそらく将来起きるかもしれない 地震のおおよその時と場所を予測できる可能性があります。

本調査でのADINAの利用は、新しいアプリケーションの分野;ナノスケールの構造から (例えば, DNA-based nanostuctures)からこの論文のようなキロメータースケールの構造 で、サードパーティ製のソフトウェアとともに効率的に運用する方法を示しています。 それぞれのケースでADINAは、信頼性の高い正確かつ効率的なソリューションを提供しています。

キーワード

地震、地殻プレート、クーロン破壊応力、モホロビッチ不連続面(モホ面)、地質調査、 リヒタースケール

中国地震局のDr.Pinfen協賛