相変化畜エネルギーと太陽熱淡水化

2013.4.30 Solar-driven Desalination with Phase-Change Energy Storage

廃水の再利用とともに、淡水化は少ない雨に依存しない水資源の一つになっています。 太陽熱を利用した淡水化は、安価で、自律的に水を供給できるので有望な技術です。

今回のショーケースでは、一日を通して一定の温度を保つ相変化材料を使って太陽熱による淡水化サイクルの最適化に、 ADINAがどう使われたかを示しています。 この作業はMITのE.K. Summers氏およびその他の研究者(下の参考文献を参照ください)によって実行され、 キングファハド大学(King Fahd University of Petroleum and Minerals)から資金提供を受けました。

図1に、集合体の概略図を示します。 相変化材料は、ワックス層の伝導率を高めるために埋め込まれたアルミニウム基を用いたパラフィンワックスです。 ADINAは天候の変化や様々な動作条件でも一定の出力温度を得るためのこの層の 厚さを 最適化するのに用いました。

図1 蓄熱材を含む集合体の概略図

図2はモデルの詳細を示します。 温度依存性の対流境界条件は、窓ガラスの間の自然 対流、 空気流による強制対流および空からの輻射を考慮するのに適用しました。 相変化は、熱容量に組み込みました。もちろん、ADINAを液体と気体の間の位相変化 を直接考慮するのに用いることもできました。

図2 蓄熱を内蔵したソーラー集合体のモデル

ADINAの結果によって、相変化材料の層の厚さは8cmが最適であることを示しました。 ADINAのシミュレーションは、4000〜16000のダクトのレイノルズ数となる 0.013〜0.052kg/s の様々な質量流束を考慮していました。

研究者は最適化した畜エネルギー集合体を作り、サウジアラビアのダーランでの天候と作動条件の多様性の下、実験を行いました。 図3は、集合体の実験の現場を示しています。

図3 集合体の実験現場

図4を見れば分かるように、実験結果は、ADINAのシミュレーションにかなりの一致を示しました。 上の動画は、溶解先端分(melt front)を決定ために用いた最適な設定における 温度変化を示しています。

図4 晴れた日の太陽熱集合体のシミュレーションと実験の温度分布。
太陽光照射は緑色で示されています。

この例では、最先端の工学設計現場で産業界や研究者にどのように ADINAの強力なモデリング機能が用いられているかをお見せしています。

参照

  • E.K. Summers, M.A. Antar, J.H. Lienhard V, "Design and optimization of an air heating solar collector with integrated phase change material energy storage for use in humidification–dehumidification desalination", Solar Energy, 86:3417-3429, 2012.

キーワード

太陽熱空気ヒータ、淡水化、畜エネルギー、相変化材料、熱伝導