コンポーネントモード合成法とサブスペース反復法

2013.5.30 Component Mode Synthesis and the Subspace Iteration Method

このショーケースは、大規模FEM解析の「固有値/固有ベクトル」を求めるための、 コンポーネントモード合成法(次期バージョンADINA9.0から導入予定)とサブスペース反復法 を使ったいくつかの検証を紹介します。 ショーケース2013/3/30の方程式(1)〜(4)は、動的システムのモードシェープと固有値の近似解を得るためコンポーネントモード合成法 ステップとして使われています。 しかしながら、これらの方程式は、Batheサブスペース反復法の初期イタレーションでもあります。 その際、

を使っている反復は、コンポーネントモード合成法の解から得られるX1を使うことで 固有値とモードシェープの解析は正確に得られるでしょう。 [1]と[2]の11.6.2章を参照ください。

私たちは、2つの解析を使って、計算スキームから得られるポイントと可能性について説明します。

1つ目の解析では、トラックのフロントエンドのモデルについて検討します。ページ頭のアニメーションを 参照ください。これは非線形解析です。方程式数は、1,214,135、接触方程式数は、3,546そして、要求した 固有値の数は20、固有ベクトルの数は、40です。はじめに、コンポーネントモード合成法(CMS)で10個の 静的拘束のモードベクトルと30個の拘束された界面振動の解析を実施します。 これは、サブスペース反復法の初期ステップに相当します。 要求された固有値とモードシェープベクトルは近似です。 (固有値の誤差は平均約10%ほどです。) 予測されるモードシェープはもちろん正確ではありません。

もちろん実際のところ、これらの誤差はわかりません。 上記(1)から(5)の方程式で与えられるようなサブスペース反復法を単純に継続することによって計算される、 モデルの厳密な固有値(6桁まで)であってもエラーは確立されています。 収束に必要なサブスペースの総反復数を表1に示します。また、より多くの固有値、モードシェープが 求められる場合の経験的なリストもまた表示します。

表1 トラックのフロントエンド用のサブスペース反復法の数;得られた高精度結果

2つ目の例題はプラズマ核融合モデルを考えます。図1参照。以前解析した結果については、下記[2]参照。 ここでは、40の反復ベクトルで解析し、低い方から20個の周波数およびモードシェープにのみ着目します。 このモデルは、約500万方程式数と接触条件として約70万のラグランジュ未定乗数方程式数を含んでいるため大規模です。 開始ベクトルは少ないあるいは多くの静的拘束モード数を使って確立されます。 表2を見て下さい。表からわかるように、解析時間のトータルは、あまり変化はありません。 しかし、これはもちろん別の解析において、異なるかもしれません。 この解析はSMPマシンで8processor(2.4Ghz-4core processors*2)で解析しており、メモリは64Gbyte使用 しています。

図1 コイルとプラズマ核融合装置の支持構造の有限要素モデル
表2 プラズマ核融合モデルの解析時間、CMSでの標準サブスペース反復法の反復数

しかしながら、CMSの継続として使用される時のサブスペース法のアドバンテージは 表2に参照される結果に要求されるように、高精度答えを得るために反復計算する必要がないことにあります。 たとえば、CMSステップの後にさらに2つの反復を行ない(トータルで3つのサブスペース反復数を使用) 拘束された界面振動モードに対しても4反復だけにすると解析時間は表3にあるよう縮小します。 実際には、解析される問題のサイズと利用可能な計算リソースに依存します。 解析結果を改善するあるいは、どれくらいで解析結果が変わるのかを 見るために、CMSステップが行われるかもしれませんし、 その後にユーザーが指定したサブスペース反復数が少し使用されます。 図2に示されるように、より少ない反復数で得られる 良い精度にはやはり注意する必要があります。

表3 プラズマ核融合モデルの解析時間とCMSのより少ないサブスペース反復法の反復数。
図2 プラズマ核融合モデルの最初の20モード

同時に、CMSアプローチの経験を積んだユーザーは(非常にリーズナブルなコストで)FEMの求める固有値と モードシェープに対する精密解を得るだろうことは明らかです。 一般的に、固有値とモードシェープの誤差は未知です。 しかしながら、CMSをADINAに実装することで、もし接触のような非線形効果が要求されたとしても、CMSは サブスペース反復法に続いて固有値とモードシェープに精密解を得ることができるでしょう。 ADINAの中のこのスキームの導入は産業界における、大規模および複雑なシステムの解析のためにユーザに強力 で柔軟なオプションを提供します。

参照

  1. Bathe, K.J., Finite Element Procedures, Cambridge, MA: Klaus-Jurgen Bathe, 2006.
  2. Bathe, K.J., The subspace iteration method - Revisited, Computers & Structures (2012), http://dx.doi.org/10.1016/j.compstruc.2012.06.002

キーワード

固有値, モードシェープ, コンポーネントモード合成法, Craig-Bampton スキーム, Bathe サブスペース反復法,拘束された界面振動モード , 接触条件でのモード

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